パシフィックコンサルタンツは、2024年12月17日、長野県下伊那郡阿南町・天龍村において、災害時を想定し、ドローンのレベル3.5飛行(無人地帯上空での目視外自律飛行)で道路を空撮する被害状況調査の実証実験を実施した。

 国⼟交通省の「⺠間提案型官⺠連携モデリング事業/災害対策・復旧を見据えたインフラ整備・維持管理」に採択され、マッチングが成立した長野県のニーズ「災害時のUAV(ドローン)による道路緊急点検」に応えて実施したもの。ドローン等の新技術を活用し、データ利活用によるインフラの災害対応(災害時初動調査を含む)の迅速化および日常の維持管理の効率化を図る事業スキームを検討し、災害時の迅速な被災状況調査の実現を目指す。

写真:ドローンが飛行する様子
天龍村役場(着陸地点)付近での飛行状況

 大規模災害時の迅速な復旧には、緊急輸送道路の確保が重要となる。長野県の緊急輸送道路は、被災リスクの高い険しい地形を通る路線が多く、地上での点検やパトロールのみでは迅速な道路啓開に必要な現地情報の取得が困難となることが懸念されている。今回の実証実験は、迅速かつ安全に被害状況を把握するため、ドローンを用いた上空からの点検・パトロールの実現に向けた取り組みとなる。

 実証では、ドローンのレベル3.5飛行(無人地帯上空での目視外自律飛行)による片道約10kmの飛行・動画のリアルタイム配信、道路を撮像した動画データのAI解析による異常事象の検出、検出した異常事象の画像データのGISを活用した情報共有システム(長野県インフラデータプラットフォーム)への出力に成功した。

飛行経路、ドローンから撮影した映像
飛行経路
写真:ランディングパッドの上のドローン
使用機体:Autonomy社製ドローン「Surveyor-IN」
道路を上から撮影した画像の中央付近で検出されたカラーコーン
AIによるカラーコーンの検出結果