九州地方を中心に、点検や測量、農薬散布業務などを請け負う九電ドローンサービス。Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2024 in 関西では、点検ドローンの「ELIOS 3」や「IBIS2」、小型点検ロボット「HANABi」などの展示を行い、自社サービスを紹介した。
電力会社のインフラ点検で培ったノウハウが強み
2016年から自社設備の点検や災害時の空撮を目的に、ドローン活用の検証を行ってきた九州電力。2019年に「九電ドローンサービス」部門を立ち上げ、2024年4月にはドローンの利活用をさらに加速すべく、「九電ドローンサービス株式会社」を設立した。
会社として独立したことで、「九州だけでなく、より広域でのパートナーとの協業が可能になった」と担当者は話す。
機体取扱台数140台以上、50人以上のドローンパイロットを誇り、請け負う業務は点検から測量、農業に空撮まで幅広い。さらにドローンで撮影した画像をAIデータ分析することなどにより、事業の効率化にも貢献する。
同社の強みについて、担当者は「みなさまの生活に直結するインフラの点検は、失敗が許されません。九州電力時代から『安全第一』でインフラ点検のノウハウを蓄積してきたことが、選ばれている理由の一つになっていると感じています」と話す。
特に顧客からの需要が高いのが、点検事業だ。GPSが入りにくかったり狭かったりと、屋外よりも操作の難易度が上がる屋内での点検を依頼されるケースが多いという。
そこでJapan Droneでも、屋内点検で使用するスイスFlyability社の「ELIOS 3」や、九電ドローンサービスとブルーイノベーションが共同開発中の「HANABi」、Liberaware社の「IBIS2」、米国Skydio社の「Skydio 2+」などを展示。煙突内部には「ELIOS 3」、天井や床下などの超狭小空間には「IBIS2」など、点検してほしい環境に応じて機体を使い分ける。
機体の販売サービスを開始
点検分野では、今後は巡視にも力を入れていく方針だ。すでに中国DJI社の「DJI Dock 2」や米国Skydio社の「Dock for X10」の導入を進めている。
2024年12月には、ドローン機体の販売サービスを開始した。屋内点検が可能な機体はどうしても高額になることから、まずは点検作業を依頼するケースが多い。しかしその効果を実感した企業から、「やっぱり自社で機体がほしい」との要望を受けたことから始まったサービスだ。
そこで先に挙げた「ELIOS 3」「IBIS2」「Skydio 2+」のほか、Skydio社の「Skydio X10」の販売を開始した。機体選定のほか、デモ飛行や内製化のサポートについても今後力を入れていきたいとしている。