静岡県下田市とKDDIスマートドローン、NEXT DELIVERYは、2024年3月11日から3月14日、同市においてドローンのレベル3.5飛行による災害時の物資配送、および空撮による被災状況確認に向けた実証実験を実施した。

 レベル3.5飛行は、機上カメラの活用によりレベル3飛行(無人地帯における目視外飛行)の立入管理措置(補助者・看板の配置)を撤廃し、操縦ライセンスの保有や保険の加入により道路や線路等の横断を容易にしたもの。

 静岡県と下田市は過疎対策において革新的技術の活用を推進しており、これまで海水浴場の安全監視業務においてドローンの活用に取り組み、2022年度末から防災・災害対策におけるドローンの活用の検討を開始した。

 下田市は山間部に集落が点在しており、このうち8か所については大規模災害時に道路の寸断や、孤立することが予想される。

実施概要

 孤立予想集落への対策として、災害時における物資配送、道路や河川等の状況把握の実証実験を実施した。実施ルートは、河津建設資材倉庫(下田市箕作)から入谷地区(下田市須原)。飛行距離は片道4.7km、飛行時間は9分。配送物は医薬品(医薬品を模した箱)、衛星携帯電話。

【監視用機体】
 上空モバイル通信と運航管理システムによる遠隔制御および自律飛行を実現する「スマートドローンアタッチメント」を取り付けたDJIの小型・軽量機体「Matrice 300 RTK」を使用。

【配送用機体】
 エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を活用し、レベル3.5飛行を行った。運航は、ドローン配送事業を主事業とするエアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが行い、機体の制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とする「スマートドローンツールズ」(KDDIスマートドローン)の運航管理システムを活用した。

【実施体制】

KDDIスマートドローンプロジェクト統括
静岡県および下田市事業化検討・関係各所調査等
KDDIスマートドローン、NEXT DELIVERY機体提供・運航
静岡県下田市フィールド提供
配送を行う「AirTruck」
配送した医薬品(医薬品を模した箱)と衛星携帯電話
衛星携帯電話を使用して災害状況を報告する様子
(左から)静岡県経営管理部地域振興課長 白濵光弘氏、下田市長 松木正一郎氏、KDDIスマートドローン ソリューションビジネス推進2部部長 森嶋俊弘氏