2024年3月19日、OKUMA DRONEは、福島県の2023年度「地域復興実用化開発等促進事業/ロボット・ドローン分野」において採択された補助事業の実用化を目指し、3つの実証実験を実施したことを発表した。

 同社の「水素ドローンと複数機同時運航管理システムによる自動長距離・重量物運搬事業の実用化に向けた開発」が、2023年度「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」に採択され、DroneWorkSystemと連携して実証実験を実施した。

 この実証実験を通じて両社は、「水素燃料電池を用いたカーボンニュートラル機(補助にLiPoバッテリーを積むハイブリッド仕様)」「40kgのペイロード」などを備えたドローン開発を目指す。

1. 帰還困難地域の家屋の自動測量

 福島県双葉郡大熊町の帰還困難区地域の3Dマッピング自動測量実験を実施した。特殊カメラを搭載した複数機のドローンにより、同町の特定帰還居住区域内にある宅地や建造物等を上空から撮影し、自動測量および家屋壁面等を自動集計した。

実施目的:土地・建物および周辺状況の撮影とデータ取得
実施日時:2024年2月14日~16日
飛行エリア:福島県双葉郡大熊町大字熊字新町
搭載カメラ:SONY α6400
3Dマッピングソフト:Pix4D
ドローン:石川エナジーリサーチ製ビルドフライヤー

自動測定の集計結果
複数のドローンで上空撮影したデータを3Dマップ化

2. 複数ドローンの自動航行管理ソフトウェア

 複数ドローンの自動航行管理ソフトウェアを開発。従来困難であった設備点検、建設測量、農薬散布といった複数ドローンの同時飛行のニーズに対し、1つのソフトウェアで自動航行が可能になる。

 実証では、自動航行管理ソフトウェアに接続可能な複数メーカーの機体を用意し、飛行計画の登録を行い、ボタン1つで複数機体が離陸から着陸まで実行できるか検証を行い成功した。

3. 水素燃料ドローンの基礎研究開発

 水素燃料電池を用いたカーボンニュートラル機(補助にLiPoバッテリーを積むハイブリッド仕様)、ペイロード40kg時に飛行時間15分などの機能を搭載したドローン開発を目指し、飛行試験を実施した。同製品の開発により、従来技術では3分程度の飛行時間を15分に延ばすことができる。

 今回は水素燃料電池とLiPoバッテリーのハイブリッド仕様による基礎飛行試験を完了した。今後は山間部での重量物輸送や災害時の救援物資の運搬などの試用を想定した「ペイロード40kg、飛行時間15分」の実現を目指す。

実施日時:2024年1月25日
実施場所:福島ロボットテストフィールド(屋内試験)
実施内容:「水素燃料電池とLipoバッテリーの2種類を搭載したハイブリッドドローン機体」飛行試験

水素燃料電池+LiPoバッテリーを搭載したハイブリッドドローン
屋内飛行試験