2024年1月30日、エアロセンス、KDDIスマートドローン、首都高速道路(以下、首都高)は、国内企業による先端技術の社会実装の促進を図ることを目的とした「国土交通省 中小企業イノベーション創出推進事業」に、3社が共同で行った提案が採択されたことを発表した。2027年度末までの事業期間における交付額の上限は8.6億円を予定している。

公募テーマ
デジタルツインを活用した公共構造物(道路・河川)の維持管理手法の技術開発・実証

公募テーマ内容
デジタルツインによる公共構造物(道路・河川)の状態把握・維持管理手法の開発

事業計画名
災害に屈しない国土づくり、広域的・戦略的なインフラマネジメント技術の開発・実証

 インフラ施設の老朽化にともない、インフラ機能を維持するための点検業務の重要性が増す中、作業を行う人材不足の解消や効率化が喫緊の課題となっている。道路インフラの点検をドローンで行う場合、道路上でのドローン飛行は第三者上空となるため、レベル4飛行(有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行)に対応した機体が必要となり、長距離・広範囲の点検では長距離飛行が可能なドローンや通信手段、運航管理技術が求められる。

 3社は共同研究を通じてドローンの機体システム、運航管理システム、実運用性について検証し、ドローンのネットワークRTK(※1)による高精度飛行および遠隔カメラ映像モニタリングによる道路状況把握の実用性を実証し、道路上(高架下やトンネル等を除く)の運用実用化に向けた要件を策定する。

※1 Real Time Kinematic。固定局と移動局の受信機で複数の衛星から電波を受信して位置情報を得る技術。

【主な事業内容】

1. 第一種型式認証に対応した長距離飛行が可能な小型の垂直離着陸型固定翼ドローン機体の開発

2. ドローンにより上空から取得した撮像・点群データ等を用いた道路3次元モデルの生成、点検AIによる道路異常/補修箇所の検出システムの開発

3. セルラー通信と低軌道衛星のハイブリッド通信による、セルラー通信圏外地帯での長距離飛行

4. 道路・交通状況モデル/点検結果を道路管理システムに連携し、道路管理システムによる一括管理

5. 離着陸、充電などが可能なドローンポートの開発

 なお3社は、同事業においてエアロセンスが保有する技術を社会実装するために必要な連携を行うため、共同研究に係る契約書を2024年1月30日に締結している。

ドローンを活用した道路インフラ点検イメージ
各社の役割
エアロセンス・プロジェクト推進・技術実証取りまとめ
・機体開発・型式認証取得
・データ管理・3次元化システム開発
KDDIスマートドローン・通信システム開発
・運航管理システム開発
・道路点検AIシステム開発
首都高・道路管理システム開発
・道路点検データ・ノウハウ、現場の課題提供
・技術実証場所の選定・提供