2024年1月12日、千葉県東庄町は、これまで有人ヘリコプターで行ってきた農薬散布を、2024年度からドローンによる農薬散布に切り替えるため、ドローンの性能や効率を評価する実証実験を行うことを発表した。この集団防除による散布範囲は1,200haに及ぶ。

 東庄町ドローンパークを運営する国際ドローン協会は、1月15日、農薬散布におけるDJI T30/T25の性能評価に関する実証実験を実施する。

実証実験1

農薬散布におけるT30/T25の性能評価

【具体的な実験方法】
T30を使用し、特定の10haの畑で定点からの散布実験を行う。
T30の1機使用時の作業内容と2機同時使用時の作業内容を比較検討。
最新機体のT25を使用し、特定の10haの畑で定点からの散布実験を行う。
1名のパイロットで2機のT30を自動飛行によって操作する。
監視員は1名設置し、ドローン飛行の監視を行う。
薬剤補充とバッテリー交換は1名で実施する。
自動飛行時とマニュアル飛行時で作業時間や効率を比較する。
飛行時間、噴霧量、バッテリーの交換回数、薬剤の補充回数を測定する。
自動飛行時は離着陸場所は1カ所に限定して作業を実施する。
畑の各地点で散布精度を確認するためのマーカー(感水紙)を設置する。
自動飛行用のマップは事前に制作する。

【検証項目】
飛行時間の最大値と平均値
1回の充電で散布可能な面積
噴霧量と散布幅の確認
散布の一貫性と精度
1機で散布した時と2機で同時散布した時のコストパフォーマンスの比較
バッテリー交換回数と薬剤補充回数、およびそれらに要する時間を比較
2機同時飛行の問題点の検証
バッテリーの連続使用時の温度を測定
発電機、モーター、アンプ、送信機の温度を測定
安全性、信頼性の確認
作業員の疲労度の検証

実証実験2

散布時間の最適化と効率評価

【具体的な実験方法】
1機または2機同時にT30を使用し、同じ10haの畑で散布を行い散布時間と効率の比較検証をそれぞれ行う。
T25を使用し、10haの畑で散布を行い、散布時間を検証する。
それぞれのシナリオで所要時間と散布範囲、感水紙を用いた散布結果を記録する。

【検証項目】
1機使用のみの散布時間と2機同時使用の散布時間
バッテリーおよび農薬の補充回数
バッテリー消費量
各部の温度測定
感水紙を使った散布結果の計測

実証実験3

バッテリー充電と飛行時間の関係分析

【具体的な実験方法】
10haの作業で必要な充電回数を計算する。

【検証項目】
実際の充電時間と飛行時間
1回の充電で完了できる作業量
必要な充電回数
バッテリーの温度変化を計測
発電機の温度変化を計測

実証実験4

農薬の補充と飛行時間の関係分析

【具体的な実験方法】
10haの畑で必要な農薬の総使用量と飛行時間を記録し、補充回数を計算する。

【検証項目】
農薬の総使用量
飛行時間における農薬使用率
補充回数

実証実験5

費用対効果の分析

【具体的な実験方法】
ドローン散布と従来の散布方法の運用コストを比較分析する。

【検証項目】
初期投資と運用コスト
労働コストの削減
散布効率と散布時間の削減

実証実験6

航空法と安全性の確認

【具体的な実験方法】
航空法の要件に基づき、実際の飛行計画と操作を評価する。

【検証項目】
飛行計画の法的適合性
安全対策の効果
法規制の遵守状況

実証実験7

自動飛行ルートに関する検証

【具体的な実験方法】
通常マップでの散布テスト
自動飛行の問題点の洗い出し
自動飛行マップを作るときの注意点をリスト化
Matrice300を使った時の測量設定

実証実験8

DJI SmartFarmの活用検証

【具体的な実験方法】
自動飛行設定したマップの確認方法
リアルタイムでスマホ版DJI SmartFarmとPC版DJI SmartFarmで作業をモニターできるのか検証
複数チームで運用した場合の使い方を検証
DJI SmartFarmの問題点の洗い出し

実証実験9

実証実験の総合評価と提案

【具体的な実験方法】
今回行われた実証実験データを包括的に分析

【検証項目】
実験結果の総合評価
得られた知見の応用可能性
農薬散布の2024年への提案
1,200haの散布に対する具体的な計画
実証実験をもとに運用マニュアルの制作
DJI SmartFarmをチームで使う時のマニュアルの作成