2023年12月18日、テムザックは、多機能型農業ロボット「雷鳥2号」を開発したことを発表した。2023年12月15日に宮崎県延岡市の圃場において走行テスト、二番穂（※1）の収穫を実施し、来年の収穫は同機で本格的に行うほか、耕起にも活用する予定だ。
※1 二番穂：初回収穫後の株から生育した稲。ひこばえ、再生イネ。
完全電動で比較的小型な雷鳥2号は、耕作放棄が懸念される小規模な圃場や不整形の条件不利農地でも稼働することが期待される。
同社は宮崎県延岡市および北浦農業公社と、2022年12月にロボットを活用した稲作について連携協定を締結。同締結に基づき、2023年に同社が稲作を行った圃場において、雷鳥2号に収穫用アタッチメントを搭載して収穫作業を行った。今回は二番穂の刈り取りを一部行い、収穫作業に活用できることを確認した。
雷鳥2号は各種アタッチメントを付け替えることで、耕起、収穫等を完全電動で実施可能。バッテリーによるモーター駆動で走行し、4輪をそれぞれ動作させて前後移動・横移動・その場旋廻ができる。将来的には完全自律走行や群れ化により、さらなる省力化を目指す。
多機能型農業ロボット「雷鳥2号」（プロトタイプ）
| サイズ | 縦2200mm、横1400mm、高さ1300mm（突起物込み1520mm） |
| 重量 | 約300kg（刈り取りアタッチメント含まず） |
| バッテリー容量 | DC48V 20Ah 、DC24V 20Ah |
| モーター諸元 | 出力600Wインホイールモータ 数量4（各車輪に設置し個別に制御） |
| タイヤサイズ | 10インチ 4輪独立操舵可能 |
テムザックは、2023年春、延岡市に最先端実践拠点「アグリ研究所」を開設し、農業未経験者でも取り組める省力化農業「WORKROID農業」として米粉用米の水稲直播栽培を開始。雑草防除ロボット「雷鳥1号」の開発・投入、ドローンによる播種作業の実施、水管理システムの運用などを実践している。また「雷鳥3号」による害獣追い払いの検証も行っており、米作りに関するあらゆる工程の省力化に取り組んでいる。2023年秋には24aの圃場から800kg弱を収穫しており、今後は収穫ロボットなども開発し、収穫した米を米粉にすることで6次産業化の仕組みづくりを目指すとしている。