2023年12月19日、丸紅と中川、DeepForest Technologies(以下、DeepForest)は、SDGsや2050年カーボンニュートラルの達成に取り組むため、中川が管理する和歌山県田辺市の森林においてJクレジットの創出を連携して行うため、連携協定を締結したことを発表した。

 日本は国土の67%が森林で、人工林の伐採期到来に伴い伐採が進められている一方、木材価格の低迷や造林費用の負担が大きいことから、伐採した森の大半はそのまま放置され、再造林率(※1)は約30%にとどまっている。同事業では再造林をドローンで測量し、Jクレジットを創出・販売することで、森林の所有者が収益を得られる仕組みを作り、再造林率の向上を目指す。

※1 人工林を伐採した面積に対する人工林を造林した面積の割合。

和歌山県田辺市の森林

 丸紅は同事業において、日本国内での森林由来Jクレジットの創出および認証の支援、創出されたJクレジットの販売を行うとしている。

 中川は、森林所有者や自治体、森林組合などの地域のステークホルダーと、森林管理から販売までのサプライチェーンの最適化や森林価値の最大化について検討し、森林経営計画の策定・施業を行う。また、紀州備長炭の原木となるウバメガシの森を再生する同社の取り組みに、同事業の収益の一部を充当する予定だ。

 同事業では、ドローンとAIを用いて森林の状況を樹木1本単位で計測可能な、DeepForestの解析システムを活用する。ドローンの自動計測技術により、計測コストの低減と精度の向上に加え、作業プログラムの設定により、誰でも精度の高いデータを取得することができる。

 3社は同事業により、森林所有者に対する収益還元を起点とする再造林率の向上や、森林のデータ活用促進等、現在の日本林業が抱える課題の解決を目指す。将来的には、この地域において生物多様性を保全し、環境省が推奨する自然共生サイトの認定を取得することで、Jクレジットの付加価値を向上させるとしている。