2023年10月30日、九州電力、アイオーネイチャーラボ、セレス、MSR、プルースコンサルティングの5者共同事業体およびQsolは、大分県においてカメラ、ドローン、AI等を活用して、大分県環境緑化条例第23条に係る特別保護樹木(樹林)の実地調査に関する実証を10月31日から行うと発表した。

 現在自治体の職員が立ち入って実施している広大な自然保護地域などの自然物等の実地調査について、カメラ、ドローン、センサー等による情報収集に加え、AI解析技術の活用による代替可能性を実証する。

 なお同実証は、三菱総合研究所がデジタル庁から受託した事業「テクノロジーマップの整備に向けた調査研究(アナログ規制の見直しに向けた技術実証等)」に係る公募に採択され実施するものである。

実証イメージ

実証の概要

 デジタル臨時行政調査会は、 アナログ規制について見直すべき関連法令等約1万条項を抽出し「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表」を決定した。 規制を所管する府省庁においては、工程表に沿って2024年6月までを目途に規制の見直しを実施することとしている。工程表に記載された法令約1万条項には、所管府省庁がデジタル技術の活用可能性について安全性・実効性の観点で技術検証を必要とするものもある。そのため、デジタル庁において技術検証のための予算を確保するとともに、所管府省庁およびアナログ規制の見直しを進める自治体とも連携し、技術検証案件を類型化するなど、効率的に技術検証を実施することとされている。

実証の対象法令と概要

大分県環境緑化条例第23条に係る特別保護樹木(樹林)の実地調査

 特別保護樹木や特別保護樹林の指定または保全その他緑化に関し、貴重な樹木等の保護を図るため、樹木の状態(高さ、樹齢、幹回りの寸法等)や樹林を構成する樹種等について、現地に立ち入って調査している。

役割分担および実証概要

【ドローン調査】九州電力(九電ドローンサービス)
ドローンによるレーザ測量および写真測量を行い、樹高、胸高直径、樹林の区域面積や占有率、立木密度等を計測
AI分析による樹種判定:Qsol
NDVI解析(※1)による保護樹木の健康状態を確認

【IoTセンサー/IoTカメラによる調査】アイオーネイチャーラボ、MSR
IoTセンサーおよび IoTカメラで樹木/樹林の状態を把握

【GISデータ等解析・評価】セレス
樹木/樹林の公表情報をGIS(※2)上で表示し、オーバレイ解析(※3)、バッファ解析(※4)を実施

【Web-GIS開発】プルースコンサルティング
実証結果(ドローン調査、IoTセンサー/IoTカメラによる調査、GISデータ等解析)を一元的に表示するWeb-GISを開発

※1 緑葉の波長特性を利用し、植生の活性度等を表す指標。
※2 地理情報システムの略称。地理的なデータを収集・管理・分析・可視化するための技術。
※3 複数のデータや情報を重ね合わせることで、新たな情報やパターンを抽出する解析方法。
※4 データを一時的に保持するメモリ領域(バッファ)に格納し、一定の処理をする解析方法。