2023年11月16日、山口市とほほえみの郷トイトイ、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2023年11月14日に山口市阿東地域において、次世代高度技術の活用による新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施したことを発表した。

 セイノーHDとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して行った。阿東地域において買い物支援対策と地域コミュニティの運営を行うほほえみの郷トイトイと協力、共存し、地域の既存拠点の機能拡充、地域に根差した取り組みとして推進するとしている。

 なお同実証実験は、環境普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)に採択されている。

離陸する物流専用ドローン「AirTruck」(ほほえみの郷トイトイ駐車場)
受け取った寄書と生雲小学校の児童(JAふれあい生雲支所駐車場)

 阿東地域は総人口4,755人(2023年10月現在)、山口県内でも有数の中山間地域で約300km²と広大な面積を有している。スーパーなど買い物できる店舗は多くなく、高齢化率は山口市全体が約30%であるのに対し、阿東地域は約60%と、自由な移動に支障がある住民の増加等が課題となっている。

実施概要

 今回の実証実験では、小学校間の交流、グラウンドゴルフ大会への商品輸送、移動販売車両との連携による買い物サービス向上の3点について、住民の理解度向上、地域課題の洗い出しを目的として、仮設のドローンデポ(※1)とドローンスタンド(※2)を設置して実施する。

 ドローン配送には、エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用。機体制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするKDDIスマートドローンの「スマートドローンツールズ」の運航管理システムを活用した。

※1 ドローンデポ:既存物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の一時倉庫・配送拠点。
※2 ドローンスタンド:ドローン物流の起点および終点に設置される離着陸のための設備・スペース。

実施内容

1. 小学校間の交流を想定し、さくら小学校の児童の寄書を生雲小学校の児童へ届ける。ほほえみの郷トイトイからJAふれあい生雲支所まで、片道約7.4kmを約16分で配送。

2. 急送品の輸送を想定し、阿東運動広場で実施されているグラウンドゴルフ大会の参加者向けの商品などを届ける。JAふれあい地福支所から阿東運動広場まで、片道5.5kmを約12分で配送。

3. 移動販売車へ商品の補充を想定し、JAふれあい地福支所から三谷ふれあいセンターまで、片道6.2kmを約13分で配送。

着陸ポイントに到着したドローン(三谷ふれあいセンター)
商品を受け取った阿東中学校の生徒(三谷ふれあいセンター)
ドローン配送したグラウンドゴルフ大会向けの商品(阿東運動広場)