川崎重工、最新実証機「K-RACER-X2」の飛行試験を実施

　2023年11月14日、長野県伊那市が2021年度から取り組んでいる「無人VTOL機による物資輸送プラットフォーム構築プロジェクト」に参画する川崎重工業（以下、川崎重工）は、最新実証機「K-RACER-X2」を投入し、伊那スキーリゾートにおいて飛行試験およびデモ飛行を実施したことを発表した。

　国内山間地では労働人口減少などにより輸送能力が減る一方、山小屋への物資輸送やさまざまな公共インフラの維持および更新などの需要は堅調であることから、物流インフラが維持できなくなるリスクが高まっている。

　同プロジェクトは、川崎重工が開発するVTOL無人機「K-RACER」を使い、山小屋への物資輸送スキームを構築することを目標としている。これまで通信品質や自然環境の調査、事故リスクの検討などを行うとともに、飛行ルートの策定を進めてきた。

　今回、メイン・ローター直径を5mから7mとしたことなどにより、標高0mでのペイロードを100kgから200kgへ大幅に向上させた実証機「K-RACER-X2」を投入し、ふもとから山小屋まで物資を輸送する実証実験を通じてサービス能力の検証を行う。同スキームは、同様の課題を抱える全国の自治体や関係団体に水平展開が可能な汎用性・拡張性を備えている。

K-RACERについて

　有人ヘリコプターによる荷揚げ業務を代替することを目的として川崎重工が開発中の無人VTOL機。実証機「X2」は、旧型「X1」をベースに、山間地での物資輸送により適した形態・仕様に改善されたもので、標高3,100mの山小屋へ100kgの貨物を輸送できる。

「K-RACER-X2」基本仕様

事業体制（2023年度）