2023年10月18日、米国のドローンメーカSkydioは、最新のエンタープライズ向けドローン「Skydio X10(スカイディオ エックステン)」の遠隔飛行を可能とするソフトウェア「Skydio Remote Flight Deck(スカイディオ リモートフライトデック)」の提供を開始したことを発表した。

 日本国内では、Skydio X10の出荷に合わせて2024年上旬より提供を開始する。

Skydio Remote Flight Deckの活用イメージ

 Skydio Remote Flight Deckは、インターネットのブラウザを介してSkydio X10を遠隔飛行させることができる。モバイル回線がある環境であれば、どこからでも遠隔操作が可能となる。同ソフトを活用することにより、現場と遠隔地の操縦者間における飛行ミッションの引き継ぎがスムーズになり、業務の円滑化につながるほか、ライブストリーミング機能により中断することなく状況認識を行うことができる。これにより、オペレーターは屋内外を問わずどこからでもドローンを出動させ、操縦できるようになる。

 ドローンを遠隔操作で飛行させることで、特に公共安全や公共事業、建設、輸送など、社会や生活の基盤を支える組織は業務の安全性向上や効率化をより実現しやすくなるとしている。

 同ソフトはSkydio X10向けに開発されており、遠隔地の操縦者は現場の人員が起動させたドローンをそのまま飛行開始させたり、実行中の飛行ミッションの制御を現場と交代したりすることができる。Skydio X10を5G回線に接続し、Skydio Remote Flight Deckを使った飛行ミッションを行う際、ドローンの飛行時間やモバイル回線の利用可否、飛行許可の有無が制限要因となり得るものの、それ以外の観点からは問題なく飛行ミッションを遂行することが可能だという。

 警察当局、捜索救助、消防の活動など、重要な公共安全の場面においてSkydio X10を活用することで、レスポンスタイム(応答時間)を大幅に短縮し、活動の効果を最大化させることにもつながるとしている。また、自然災害後にドローンを活用することにより、インフラ点検を効率化させたり、被災状況の全体像の把握を迅速化・効率化させるほか、災害復旧活動の優先順位付けや被災した地域社会の安全確保に役立てることができる。

 同ソフトを導入することにより、車やヘリコプター、緊急車両よりも短い所要時間でドローンを出動させて、現場に人員が到着する前に状況を確認することが可能。危険を伴う状況下においては、応答した警察官や隊員がドローンを地面に置き、現場の状況を把握する間、遠隔地にいる担当者にそのドローンの飛行を引き継いでもらい、視覚情報を共有することもできる。

主な特長

・インターネットのブラウザ上での操縦
 遠隔地にいる操縦者は、インターネットのブラウザから飛行を開始したり制御したりすることが可能。ライブストリーミング機能により視認性が確保され、十分な情報量を基に意思決定を行うことができる。

・操縦者間で、飛行業務をスムーズに引き継ぎ
 ドローンの飛行制御は、現場から遠隔地の操縦者、現場における操縦者間、または遠隔地における操縦者間でスムーズに移行可能。

・複雑な飛行ミッションの実行
 Skydio Remote Flight Deckと機能拡張ソフトウェアSkydio Autonomy Engine(旧Skydio Autonomy Enterprise Foundation)を組み合わせることで、複雑なミッションを遠隔地からでも実行が可能。従来のGPSオーバーヘッドによるポイント・ツー・ポイント飛行(上空からの位置情報を基に、1つの地点から別の地点への直接的な飛行)の限界を超え、建物や障害物の周りを飛行して必要な情報を収集することができる。

主な用途

【公共安全】

・パトロール主導型DFR(第一応答者としてのドローン)としての活用
 応答した警察官や隊員が現場へドローンを派遣し、飛行制御を指令室に移行させることが可能。遠隔地にいる操縦者は飛行を管理するだけでなく、状況認識を向上させ、より多くの情報を基とした戦術的な対応を促進させる。

・捜索救助活動の広範囲化
 一刻を争う捜索救助活動において、リアルタイムの空中サポートも行うことで、活動の効果を向上。現場にいる第一応答者はドローンを出動させ、遠隔地にいる操縦者はサーマルカメラなどをはじめとした空中視点から捜索エリアを拡大。行方不明者の発見を早めたり、発見する可能性を高めたりすることに貢献する。

【インフラ】

・電力変電所の点検の効率化
 地上の作業員は点検を要する場所でドローンを起動し、飛行制御を遠隔地のオフィスにいる操縦者に移行することで、点検を滞ることなく実施。現場の作業員は問題の対応やメンテナンスに集中することができる。

・共同作業による橋梁点検の効率化
 遠隔地にいる検査官や関係者にドローンからのライブ映像を提供することで、橋梁点検を最適化し、工程を効率化。点検担当者はインターネットのブラウザ経由でドローンを操縦し、確実な意思決定をする上で必要となる正確な映像とデータを取得する。

【参考動画】Skydio X10を活用したパトロール主導型DFRのライブデモ映像(英語)

▼ Skydio Remote Flight Deck
https://www.skydio.com/remote-flight-deck