2023年5月10日、センシンロボティクスは東北電力ネットワークと共同で、ドローンの自動操縦に関する研究の一貫として、屋内外における無線中継所の遠隔巡視業務の実証実験を行ったことを発表した。

 実験ではドローン基地「Skydio Dock」「SENSYN Drone Hub」を活用。ドローン基地は自動で離着陸・充電を行い煩雑な操作を必要としないため、作業員が都度現地に赴く必要がなくなる。自動飛行により均一したデータ取得が可能になり、ドローン運用の省力化・無人化を実現する。

 山頂部のマイクロ波無線中継所は、倒木や積雪により車両が通行できなくなるリスクがあり、設備の異常時には通信センターの所員や協力会社の社員が徒歩で状況を確認に行くことがある。
 同研究では、マイクロ波無線中継所に設置したドローン基地からドローンが自動で離着陸を行い、自動飛行により遠隔で無線鉄塔やアンテナ、無線中継所構内の設備や配電線巡視路などを確認する方法を調査・検討した。

 実証実験では、ドローン「Skydio2+」およびドローン基地「Skydio Dock」を使った自動飛行ルートの作成、およびクラウドプラットフォームを経由した自律飛行を行った。Skydio機は、GNSS(全球測位衛星システム)の電波が届かない屋内でもVisual SLAM技術を活用して自己位置推定ができるため、障害物をAI処理しながら自動回避する。遠隔地からでも離陸ボタンを押すだけで自律飛行が可能。

実証を行った高館無線中継所
無線鉄塔

 屋内では通信センターから遠隔で屋内設備の監視を実施。通信機械室、電源室、それぞれ問題なく自律飛行を行い、設備巡視に適した画像データ取得を行った。

 屋外においては、無線中継所内の無線鉄塔に設置されたパラボラアンテナおよび導波管の巡視を実施。Wi-Fi環境を構築し、塔頂となる60m上空までドローンを飛行させて、屋外無線鉄塔の巡視用画像データ取得に成功した。

 屋内外設備(通信機械室、電源室、無線鉄塔)の飛行ルートをシームレスに自律飛行し、遠隔からの屋外・屋内飛行を行うことができた。

無線中継所内の無線鉄塔点検

 また、SENSYN Drone Hubを用いて巡視路の遠隔監視を想定した自動飛行を検証。無線中継所内を起点に、非常災害時の巡視路の状況を確認できる飛行ルートを作成し、必要な画像データを取得することができた。

「SENSYN Drone Hub」を用いた巡視路の遠隔監視の様子
「SENSYN Drone Hub」のモニター画像