2023年10月10日、DJIは、高度なLiDARシステムを搭載したDJI Zenmuse L2を発表した。4/3型CMOS RGBカメラ、アップグレードしたLiDARモジュールを搭載し、精度を向上。DJI Matrice 300 RTKまたはDJI Matrice 350 RTKを使用する業務向けに、より高精度で高効率、信頼性の高い3Dデータを提供する。DJI Terraを併用することで、3Dデータ収集や高精度の後処理を実現するターンキーソリューションとなる。

 DJI Enterprise正規代理店およびDJI CAMP ENTERPRISE L1キャンパスにて先行予約を受け付けており、製品の出荷は2023年10月末を予定している。

 推奨基本製品構成は「Matrice 350 RTK」「DJI Zenmuse L2」「DJI Care Enterprise(保護プラン)」「オペレーター講習」(LiDARの生データを解析するソフトウェアDJI Terra付き、バッテリーなどのアクセサリー類は含まず)、参考価格は約350万から。Matrice 350 RTKの参考価格は、約100万円(バッテリーと充電器は含まず)。

大規模の3D空間データを短時間で取得

 土地測量、マッピング、電力供給設備点検、森林・インフラ管理などの業務において、大規模の3D空間データを短時間で取得可能。従来の手動での計測技術と比較して作業量を大幅に軽減し、現場の計測時間を短縮する。

 LiDAR、独自開発のIMUシステム、4/3型CMOS RGBカメラ、3軸ジンバルを備え、DJI Matrice 300 RTKやMatrice 350 RTKといったドローンに搭載することで、信頼性の高いデータを正確かつ効率的に収集する。

電源を入れてすぐに使用可能

 独自開発の高精度IMUシステムは、ウォーミングアップが不要で、電源を入れてすぐに使用可能。ドローンのRTK測位システムと組み合わせて使用すると、後処理中にデータを統合でき、高精度の絶対位置情報、速度情報、姿勢情報を確認できる。IMUシステムは環境適応性が強化され、運用信頼性や精度が向上している。

検知範囲と安全性の向上

 前モデルのZenmuse L1と比較して、検知範囲は30%増加し、250m(反射率10%、100klx)と450m(反射率50%、0klx)の範囲で検知が可能(代表値)。標準飛行高度は120mまで伸び、業務の安全性と効率性を向上させる。

 スポットサイズは4×12cm@100mと前モデルZenmuse L1の5分の1のサイズ。より小さな対象物を検知し、詳細な情報を取得してより正確な数値標高モデル(DEM)を生成する。5リターンに対応しており、高い植生密度の環境でも葉の下まで貫通し、より多くのグラウンドポイントを捉えることができる。

 シングルリターンモードと複数リターンモードの両方で、最大点群放射率24万点/秒を達成し、より多くの点群データを一定時間内に取得する。

 RGBマッピングカメラのセンサーには、4/3型CMOSを使用。メカニカルシャッターを備え、ピクセルサイズは3.3μmと大きくなっている。有効画素は2000万画素で、全体の画像性能が大幅に向上し、より細部まで点群をカラー表示できる。

 画像撮影の最小間隔は0.7秒、マッピングカメラのシャッター寿命は最大20万回で、運用コストを大幅に低減している。

 LiDAR点群データ収集が必要ない場合は、RGBカメラで写真や動画を撮影したり、RGBマッピング用に画像を収集することができる。

 DJIのフラッグシップモデルのドローンMatrice 350 RTKに取り付けた場合、1回の飛行で2.5km²のエリアからLiDAR点群データとRGBデータの両方を収集可能。

 標準的な作業高度150mでのZenmuse L2の3D点群モデルは、垂直精度4cm、水平精度5cmを達成し、1:500高精度地形マッピングの要件を満たしている。

業務をサポートするソフトウェア

 DJI Pilot 2アプリに対応しており「RGB」「点群」「点群/RGBの2画面表示」の3種類の表示モードを備え、より直感的な操作で業務が行える。

 レーザー距離計は、LiDARモジュールとFOVの中心にある対象物との間の距離情報を取得することができる。また、反射率、高さ、距離、RGBのリアルタイム点群カラーコーディングに対応している。オペレーターは記録した3D点群モデルのプレビューから、リアルタイムでオペレーションの進捗をモニタリングできる。

 DJI Pilot 2を使用して、飛行ルートタスク終了後、ルートタスクの品質レポートを自動生成する。また、点群のプレビューやマージ機能を備える。点群を現場で素早く確認することができ、データに異常があった場合は再度その場で撮影できる。

 マッピングソフトウェアDJI Terraを併用すると、ワンストップでの点群の後処理を実行することができる。点群の軌跡計算が完了し、点群精度が最適化されると、1クリックで標準フォーマットの3D点群モデルを生成する。次に、グラウンドポイントが分類され、数値標高モデル(DEM)を作成する。その後「精度コントロール/チェック」機能を使用して、点群の品質を分析できる。

1台でさまざまな業務に対応

 DJI Matrice 300 RTKまたはDJI Matrice 350 RTKとDJI Terraを併用することで、土地測量、森林管理、主要資産管理、その他多くの産業での使用に対応する。

 地形マッピングでは、広いエリアの地形測量を素早く正確に実行する。

 点群のRAWデータは、収集後ワンストップで処理され、標準フォーマットの3D点群モデル、数値標高モデル(DEM)などさまざまな成果物を生成し、さらに詳細な計測に使用することができる。

 LiDARは樹冠を貫通することから、森林管理業務では樹冠の幅や樹木の高さといった特徴を分析し、森林の植物の生育状況を柔軟にモニタリングできる。

 電力供給設備の点検業務では、写真測量手法を使用して電線や部品のモデルを再構築することは困難であった。DJI Zenmuse L2は、点群データを効率的に収集することができることに加え、点検員が植生と電線の隔離距離を計測して潜在的なリスクを特定したり、点群データをもとに自動点検タスクを計画したりすることができる。

「DJI Zenmuse L2」製品紹介動画


▼DJI Zenmuse L2
https://enterprise.dji.com/jp/zenmuse-l2