2023年9月6日、愛知県は、国土交通省が公募した「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」に名古屋鉄道とともに申請し、採択されたことから、「幸田町におけるドローン・自動運転車連携による農産物・買い物支援輸送」の実証実験を実施することを発表した。
ドローンによる物流は、離島や山間部等における日用品や医薬品などの物流網の維持や災害時の物資輸送など、地域における社会課題解決の手段として期待されている。2022年12月には、有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)が解禁され、ドローン物流のさらなる発展が見込まれている。
愛知県では、あいちロボット産業クラスター推進協議会を核として、ドローンの開発支援や社会実装を目指した実証実験の実施など、ドローンの産業活用に向けた取り組みを推進している。
事業モデルおよび実験内容
幸田町山間部は、人口減少や高齢化の影響により、通勤・通学や買い物の利便性に課題を抱えている。また特産品である筆柿は、高齢化や人材不足の影響により販売量減少が懸念されている。
農産物輸送と買い物支援輸送をドローンと自動運転車の連携により実施し、農業の担い手不足の軽減や販売量増加、買い物の利便性向上を目指す。なお自動運転車は、地域を巡回するコミュニティバスとして定期航路を走行している想定で、これに荷物を混載する運用を行う。実施日は2023年9月22日(予備日:2023年9月23日)。
実験に際しては、ドローンはレベル3(無人地帯での目視外飛行)相当で飛行し、自動運転車はレベル2(システムが前後・左右の両方の運転操作を支援)で走行する。
今回の実証実験では、時間の都合上、スーパーマーケットから自動運転車での配送は行わず、道の駅にすでに日用品が配送されているものとしてドローン配送を実施する。
使用予定のドローン・車両
プロドローン製のドローン配送本格運用機体「PD6B-Type3」。あらゆる方向の水しぶきからの保護性能等の試験実績を有する(IP44)。
スペック | |
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機体サイズ | 2,181mm×2,398mm |
推奨ペイロード(最大積載量) | 20kg |
飛行時間 | 20分(4.9kg搭載時) |
自動運転OS Autowareおよび事前に取得する高精度3Dマップを使用して走行する自動運転車。自己位置推定、障害物認識等の機能を実装。乗車定員は2名(別途、オペレータ等が同乗)。ヤマハ発動機開発のゴルフカートをベースに、自動運転専用に改造した車両で、天井にLiDAR(※1)を搭載している。
※1 Light Detection and Ranging。レーザー光を使って離れた場所にある物体の形や距離を測定するセンサー技術。