和歌山県日高川町と、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、ウフルは、2023年8月31日に、新スマート物流による暮らしのDXに向けた連携協定を締結した。

 日高川町、セイノーHD、エアロネクスト、エアロネクストの子会社NEXT DELIVERYは、令和5年度デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装Type1)「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」の一環として、2023年7月に日高川町川原河に新スマート物流SkyHubの拠点となるドローンデポを開設し、美山地区、中津地区においてサービスを開始している。

 新スマート物流とは、物流業界の人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解決し、人々の生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術など、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム(O.P.P.)により実現を目指している。セイノーHDとエアロネクストが共同で展開するSkyHubは、既存物流とドローン物流をつなぎ、地上と空のインフラを接続することで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組みを構築する。

 ウフルを加えた4者は、日高川町の過疎地域における住民の孤立解消を目指し、新スマート物流SkyHubの仕組みをもとに、ウフルのデータ連携基盤や地図ポータルなどの次世代技術と連携することで、住民に寄り添ったサービスを提供し、地域住民の生活の質向上とウェルビーイングの実現に貢献するとしている。

連携協定の概要

締結日
2023年8月31日

協定の内容
 新スマート物流の実現に向け、データ連携基盤やドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しながら下記について取り組む。

1. 日高川町の地域交通や物流が抱える課題の解決に関すること
2. 日高川町の地域課題解決、健康、防災への対応の充実に向けた貢献に関すること

取り組みの概要(予定)

 和歌山県中央部に位置し、約90%が森林に覆われている日高川町は、人口減少と高齢化が進行し、交通手段や若中年層の不足が深刻な課題となっている。買い物や日用品の入手が困難になり、特に独居世帯の共助・互助の促進が求められている。また、災害時の情報提供手段や緊急支援物資の迅速な提供体制の整備も必要である。

 4者は、SkyHubやドローンを用いた新スマート物流の拡張に向けて、ウフルのサービス連携基盤「CUCON(キューコン)」や、地図ポータル「elcompath(エルコンパス)」などの次世代技術を組み合わせることで、物流を起点に住民に寄り添ったサービスの提供を目指す。

 将来的には、物流網を生かした高齢者や独居世帯の見守りサービス、災害時の緊急支援物資の迅速な提供などにもつなげ、地域住民の安心と健康を支えるウェルビーイングの実現を図る。

各者コメント

日高川町長 久留米 啓史 氏

 日高川町は、平成17年5月1日に「川辺町」「中津村」「美山村」の3町村の合併により誕生した町であり、山間部となる美山地区については、高齢化率が52.5%(R2国勢調査)となっている。最近では人口急減、超高齢化により、様々な問題が発生してきており、住民一人ひとりが安心して暮らせるまちづくりを実現させるためには、現在実装を開始している新スマート物流の仕組みに加え、次世代技術を活用した連携が必要であると考えています。地域課題の抽出、健康や防災を始めとする暮らしのDXを推進し、今後5年先、10年先に住民の皆様が安心して暮らせるまちづくりを目指します。

セイノーHD執行役員 河合 秀治 氏

 セイノーホールディングスは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。日高川町においては、物流が担う役割やテクノロジーの実装で住民一人ひとりに寄り添いながら、住民の皆様が持続的に安心して暮せる街づくりと住民サービスの維持、向上に繋がるかを追求し、将来ドローンによる自動化を視野に入れ、新たな空と陸の物流モデル構築に向け取組んで参ります。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路 圭輔 氏

 エアロネクストグループはセイノーホールディングスとともに地域物流の効率化を目指して新スマート物流SkyHubを全国各地で推進しています。2023年7月6日に日高川町にSkyHubの拠点となるドローンデポを開設し、美山地区、中津地区において、お買い物代行などのサービスを開始しました。今後はウフルを加えたこの新しいチームが一丸となって地域社会が抱える様々な課題を解決する新しいサービスを実現していきたいと思います。

ウフル代表取締役社長CEO 園田 崇史 氏

 ウフルは2018年より和歌山県に拠点を置き、県内はもちろん全国各地でスマートシティの支援を行ってきました。日高川町が抱える課題は、全国の自治体が直面している課題でもあります。今回の事例をモデルケースとして、日本全国の課題に真摯に取り組んでいければと思います。