石川県小松市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、小松市松東地区において、地域課題の解決を目指した新スマート物流SkyHubのサービスを開始するにあたり、2023年8月28日に「ドローンデポ小松」の開所式を実施した。

(左より)エアロネクスト代表取締役CEO・NEXT DELIVERY代表取締役 田路圭輔氏、小松市長 宮橋勝栄氏、セイノーHD執行役員 河合秀治氏(ドローンデポ小松前)

 新スマート物流SkyHubは、ドローン配送と陸上輸送を組み合わせた新たな物流インフラを構築するもので、セイノーHDとエアロネクストが全国で推進している。配送の拠点および一時保管倉庫の機能をもつドローンデポを、松東地区の「ほのぼの松東」内に構え、2023年度中に各運送会社と連携した共同配送の検討も開始する。

 新スマート物流SkyHubが社会実装フェーズに入った自治体は、山梨県小菅村、北海道上士幌町、福井県敦賀市、茨城県境町、千葉県勝浦市、和歌山県日高川町に続き7カ所目となる。

 配送には軽バンとドローンを利用する。ドローン配送においては、主にエアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を活用する。

物流専用ドローン「AirTruck」が着陸し、荷物を切り離す様子(松東こども園)
ドローン配送されたお菓子をスタッフから受け取る園児(松東こども園)

 地域のスーパー・ドラッグストアなどと連携した買い物代行サービス(SkyHub Delivery)と、フードデリバリーサービス(SkyHub Eats)を順次スタートし、住民ニーズに応じて商品ラインナップを充実させ、対象エリアを広げていくとしている。

 なお同事業は、令和5年度デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装Type1)「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」として採択されている。

 小松市、セイノーHD、エアロネクスト、KDDIスマートドローンの4者は「次世代高度技術の活用による地方創生に向けた連携協定」を2022年12月13日に締結し、同月21日には連携協定に基づく取り組みとして、新スマート物流SkyHubの仕組みを活用し、松東地区において買い物支援や物資支援などを想定した日用品のドローン配送の実証実験を実施している。

サービス内容

地域のスーパー、ドラッグストアなどと連携した買い物代行サービス(SkyHub Delivery)

 SkyHub専用サイトやチラシより購入した商品を、希望日時に個宅に届ける買い物代行・配達代行サービス。地域商店のDX化支援の取り組みでもある、ネットスーパーサービス。

 松東地区では、近隣にあるドラッグストアの約120アイテムの食料品、日用品から商品を選び、希望時間を選択して注文を行う。料金は配送料300円(税込)とサービス料(商品代金合計の10%)。当面は正午までの注文商品を当日中に配送する。

フードデリバリーサービス(SkyHub Eats)

 小松市内の提携飲食店の食事を軽バンあるいはドローンで配達する。料金は配送料300円(税込)を想定している。

ドローン配送について

 ドローン配送には、可搬重量(ペイロード)最大5kg、最大飛行距離20kmの物流専用ドローンAirTruckを使用する。8月28日のメディア公開では、地域住民の日常的な買い物利用を想定し、ドローンデポのあるほのぼの松東の駐車場から松東こども園まで約1kmを、AirTruckにより片道約3分で配送した。配送物はメッセージカード付きのお菓子。

 まずは松東地区内で複数のルートでドローン配送ができるよう準備をしており、年度内には70日以上の運航とレベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)でのドローン配送を目指し、秋以降からの実施を予定している。

日本発物流専用ドローン「AirTruck」
ドローン配送したメッセージカード付きのお菓子