2023年7月12日、Moguraは、デンソーの依頼に基づき、電動化製品ユニットの特徴を伝えるARシステム「空飛ぶクルマAR」を開発したことを発表した。

 空飛ぶクルマARは、デンソーが構想する「空の移動革命」を視覚的に体感できるARシステムで、デンソーの小型軽量な電動推進ユニット(EPU)を搭載した空飛ぶクルマ(eVTOL)の飛行イメージを、現実空間に重ね合わせて視聴することができる。安全性や静音性、移動時間の短縮、CO₂削減効果など、文章や動画では伝わりにくい電動化製品のメリットをARで表現する。

 同ARシステムは、デンソーの安城製作所電動開発センターギャラリー内で展示利用を開始している。

 同社は今回の開発プロジェクトで、企画調整・要件定義・チーム組成・設計・実装・納品を一貫して担当。字幕・音声ナレーションは3カ国語(日中英)に対応している。

 現地テストを繰り返しながら制作を進め、AR投影にあたって空飛ぶクルマと現実空間をどのように重ね合わせるか、センサーへの干渉でAR表示に異常が発生しないかなどの環境条件を検討・改善しながら試作・検証を行った。

 また、文章や2D映像だけでは分かりづらい内容を直感的に伝えるため、空飛ぶクルマの機体やプロペラの動き、質感や見栄えなど、3Dモデルの品質にもこだわったという。

 飛行アニメーションは3D開発エンジン「Unity」で制作し、試作品に対するデンソーのフィードバックをもとにブラッシュアップを行った。3Dモデル品質については、3D作品・映像制作を手掛けるマルチクリエイター加速サトウ氏も協力している。

「空飛ぶクルマAR」を利用する様子。iPadに映された現実空間内に、ARで空飛ぶクルマを飛行させている。

 空飛ぶクルマは、電動化と多数のプロペラを使うことで、安全で静かな空の旅を実現する。従来に比べてCO₂排出をウェールトゥプロペラ(well to propeller、燃料採掘から使用に至るまで)で45%削減する。

 例えば、デンソー拠点の愛知県から伊豆までクルマで移動すると3時間以上かかるが、空飛ぶクルマであれば40分ほどと、1/5の時間で到着する。