2023年7月3日、DeepForest Technologies(以下、DeepForest社)は、「カーボンクレジット創出に関わるドローンからの森林資源量解析技術の開発」事業が、生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)の2023年度「スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」フェーズ3(事業化段階)に採択されたことを発表した。

 スタートアップ総合支援プログラムでは、農林水産・食品分野で新たなビジネスを創出するため、スタートアップ等の技術開発・事業化を支援している。DeepForest社は同事業により、レーザードローンからJクレジットの創出に必要な情報を解析する技術、および広葉樹の個体検出技術を確立するとしている。

 DeepForest社は、ドローンの画像データから森林の各樹木の検出・樹種の識別・樹高および太さの推定・幹材積の計算・炭素蓄積量推定が可能なソフトウェア「DF Scanner」の開発・販売を行っている。森林上空から得たレーザードローンデータから地面部分のみを抽出する技術の開発にも成功しており、この事業では同技術の製品・サービス化を実施する。また、広葉樹についても樹種識別をはじめとした解析技術を持っており、同事業では広葉樹解析技術をより向上させるための研究開発を行うとしている。

1. Jクレジット創出のためのドローン計測技術の確立および製品・サービス化
 森林の分野ではカーボンクレジットの創出により、放置されている森林を管理することで収益を得ることが可能になると期待されている。一方、Jクレジットの創出にはコストがかかるため、小・中規模の森林管理者がクレジット創出に踏み込めていない実態がある。
 低コストであるドローン計測技術を製品・サービス化することで、小・中規模の森林管理者でも安価にクレジット創出が可能な環境を創造することになり、林業全体の収益を増大させ、適切な管理による土砂災害リスクの軽減につなげる。

2. 広葉樹の個体検出技術の確立
 DeepForest社では、これまで難しいと考えられていた広葉樹の識別技術を保有している。針葉樹林では80%以上の精度で森林情報の推定が可能だが、広葉樹林では個体検出技術の確立がさらに必要だという。広葉樹林で個体検出の技術開発を完成させることで、広葉樹林でも森林情報の網羅的な解析が可能になり、より効率的な森林活用方法の検討ができるようになる。