2023年6月19日、エアロセンスは、ファンリード、マレーシアのサンウェイ大学と、エアロセンスのVTOL型ドローン「エアロボウイング」を活用し、マレーシアで約4,000haにわたるマングローブ林の育成状況に関するデータ収集・解析目的の撮影飛行を実施したことを発表した。

 同プロジェクトは、APT(アジア・太平洋電気通信共同体)による、ドローン・AI技術を活用したマングローブ分布・生育マップ作成技術実証の「ICTパイロットプロジェクト2022」(Category II)に共同提案し採択されたもので、5月上旬から中旬にかけて実施した。エアロボウイングの海外での飛行は今回が初だという。

マレーシアのマングローブ林上空を飛行するエアロボウイング

 同プロジェクトは、サラワク州政府による環境保持目的のための取り組みであり、エアロセンスはドローンによるデータ取集および解析、ファンリードが4K RGBおよびハイパースペクトルデータ分析(ハイパースペクトルセンサー提供を含む)を行った。

 ドローン飛行は2023年5月5日~13日の間にマレーシアのサラワク州のクチン・ウェットランド国立公園で実施。VTOL型ドローンでマングローブ林の上空を飛行し、育成状況のデータを収集した。収集したデータは、樹種の特定や森林の状態確認などに活用され、ファンリードによる4K RGB画像分析と、同社製のハイパースペクトルセンサーによる分析を行い、マングローブの分布・育成マップを作成する予定だという。

データ収集目的の飛行エリア(地図引用元:Google社「Googleマップ」)

 ドローン飛行後のセレモニーには、サラワク州副大臣、サラワク森林公社のCEO、日本大使館の公使、サンウェイ大学の学長が出席。今後、マングローブ森林地帯の管理や違法伐採など監視目的のドローン活用だけでなく、ドローンで撮影したデータを用いて炭素蓄積量や含有量を測定することで森林の健康状態や森林内の樹種の特定などを行い、ブルーカーボンクレジット事業を進めるとしている。さらに、同プロジェクトを通じてサラワク州のマングローブに限らず、自然保護全体のICT化を進める計画であることが話された。

セレモニーの様子