2023年6月29日、筑波大学は、同大学の研究力をベースとした総合知を国の産業成長に資することを目的とした「IMAGINE THE FUTURE. Forum」(以下、ITF.F)事業を推進することを発表した。

事業計画地

 日本のGDPは世界3位ではあるものの、世界におけるポジションが低下していると言われている。この要因の1つとみられるのが、研究開発レベルからの新たな産業創出(イノベーション)の不足だという。

 同大学は、その特徴である学際性を発揮した総合的な研究力によって企業や社会の課題を解決し、社会実装までつなげる産学連携拠点を設置する。ITF.F事業は、同大学と企業が共同で開発研究と実証実験を一気に行える施設を目指すとしている。

【事業の主な特徴】

1. 大学債発行によって調達した資金(200億円)等を活用し、ITF.F施設を筑波大学が建設

2. ITF.F施設内に企業がB2A研究所を設置、ビジネス化まで視野に入れたニーズドリブン型(企業等のニーズを起点としてビジネス創出まで一気通貫)の開発研究を実施する(B2Aから2Bまで「B2A2B(Business to Academia to Business)」の実施

※ B2Aとは「Business to Academia」を略した造語であり、キャンパス内に企業が入り共同研究を推進することを指す。同事業においては、B2Aをさらに進化させ、「B2A2B(Business to Academia to Business)」として、企業や社会の課題を筑波大学のリソースで解決するとともに、その事業化までを目指す。

3. ドローン等の実証実験が可能なPOCスペース(縦横100×70m、高さ22m)を併設、実証実験が速やかに実施できるため、研究成果を創出する上での利便性を有する

4. 企業側のメリットとして、ITF.F施設に入居することにより大きな固定資産(研究所等)を所有することなく、共同研究を通じて同大学のリソースの活用が可能

5. 同大学においても企業とのニーズドリブン型開発研究によって研究力強化につながる

 今後、つくば市が推進しているスーパーシティ構想とも連携を図り、同市の新たな発展に寄与することを目指す。また、2027年の竣工に向けてスタートする一方で、竣工まで待たずにLOI(参加意向表明書)提出企業10社をはじめとして、さまざまな企業とニーズドリブン型開発研究を推進するとしている。

南西側俯瞰イメージパース(拡大図)
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