2023年6月26日~28日、千葉県幕張メッセにおいて、第8回目となるJapan Drone 2023が開催された。VTOL固定翼ドローンを自社設計、日本で製造する空解は、双葉電子工業と共同出展して、新たにリリースした2機種を発表した。

 1つは、すでに販売中の「QUKAI FUSION 2.0」の翼長が2.0mから2.4mにバージョンアップした「QUKAI FUSION 2.4」。左右主翼の取り付けはワンタッチ機構で、簡単に組み立てられるという。最大航続時間は120分。最大積載重量は2.5kgで、この場合は約40分間航行が可能だ。資料によると速度は最高が時速120km、最低が時速30kmと幅がある。

「QUKAI FUSION 2.4」

 もう1つは、最大航続距離400km、最大ペイロード10kgとパワフルな「QUKAI MEGA FUSION 3.5」。翼長3.5mという大型VTOL固定翼ドローンだ。新たに開発したセルモーター付40ccガソリンエンジンを水平飛行用パワーユニットに採用することで、脅威の長距離長時間飛行が可能になった。電動の離着陸パワーユニットとのハイブリッド仕様になっている。ちなみに、ガソリンエンジンではなく電動も選択でき、その場合の最大航続距離は、「QUKAI FUSION 2.4」と同じく120kmだという。

「QUKAI MEGA FUSION 3.5」

 特に注目を集めたのは、長距離長時間航行もさることながら、やはりペイロードのようだ。胴体内部がすっぽりと空洞で、貨物ルームになっていた。後方に小型のガソリンエンジンを積み、前方には荷物を搭載できるという。「30リッターほど入る」という容量は重宝しそうだ。

 撮影やモニタリングでは複数の機材を搭載して、複数のミッションもこなせるように、緊急物資輸送では効率よく長距離長時間を飛行できるように、空気抵抗も考慮に入れつつ設計を最適化したという。資料によると速度は、最高が時速150km、最低が時速40kmと、やはり大きく幅がある。

胴体前方
胴体前方のふたを開けると貨物ルーム
展示機体では、30倍ズームジンバルカメラが搭載されていた

 リリースでは、「QUKAI MEGA FUSION 3.5」の受注開始は2023年夏予定とされていたが、今回の展示での注目度は高く、森田社長は「予定よりも早まりそうだ」と明かした。

 また、あまり目立って周知されてはいなかったが、ワンタッチ無人飛行・配送システム「Q-Delivery」も紹介されていた。同社は、最終的には完全に無人でドローン配送を行えることを目指して、例えば「配送スタート」ボタンを押すだけで往路のミッションが走って離陸する、あるいは受取人がアプリの「受取」ボタンを押すと、自動で復路のミッションに書き換わって、機体が再離陸し帰還していくなどのような、アプリケーション開発も進めているという。

「Q-Delivery」

「QUKAI MEGA FUSION 3.5」が実際に飛んでいるところを見たい、という要望が来場者から多数寄せられたことを受けて、同社はデモフライト会の実施検討を始めたという。モニタリング、物流など、複数の用途でミッションを行う様子を一度に見られるとしたら、より具体的に導入イメージを描けそうだ。

#JapanDrone2023 記事