2023年6月29日、NEDOは経済安全保障を強化・推進する観点から支援対象とすべき先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称:K Program)」の一環で実施する研究開発として、「航空安全等に資する小型無人機の飛行経路の風況観測技術」に着手することを発表した。予算は11億円。期間は2023~2025年度を予定している。

 ドローンなど小型の機体が低高度の空域で安全に飛行するためには細かな乱気流・突風を明確に検出・可視化し、鳥や建物、地形などの障害物も正確に捉えることができるドップラー・ライダー(※1)の開発が必要となる。さらにドローンや空飛ぶクルマなどにも搭載できるように小型・軽量化することが求められている。

 NEDOは宇宙・航空領域の優位性につながり得る無人航空機技術の開拓として同事業の公募を行い、メトロウェザーが提案した「風況観測用ドップラー・ライダーの超多チャンネル化及び超高分解能化開発と飛翔体搭載型システムの実用化」を採択した。

 風況観測や障害物検知の能力を向上・精密化させ、かつ小型化によりドローンや空飛ぶクルマなどにも搭載可能なドップラー・ライダーを開発することで、低高度の空域における安全な運航を確保するための風況観測技術を確立する。

 また、この技術を社会実装することによって、都市の渋滞回避、離島や山間部での新しい移動手段の確保、災害時の救急搬送や迅速な物資の輸送などエアモビリティが安全に活躍する社会の実現を目指すとしている。

※1 ドップラー・ライダー:光のドップラー効果を利用して大気中のちりの動きを観測し、風向きや風速を測定する装置。

事業概要資料(NEDO)