2023年5月16日、FLIGHTSは特殊高所技術と、橋梁点検での業務提携を開始することを発表した。この提携により、これまで不明確であったドローンとロープそれぞれが得意とする点検範囲を明確化することで、双方を組み合わせた点検業務の効率化を目指し、安全で確実な点検業務を実現するとしている。

 FLIGHTSは2022年度の橋梁点検業務から、確実に精度管理できる橋脚を対象に近接目視点検の代替として点検業務を実施してきた。しかし、ドローンだけでは点検が難しい箇所があることから、ロープを用いた近接目視点検を適切に組み合わせることで、精度を確保しながら点検の効率化を図る。

 今回の提携により、点検の効率化に対する適切な組み合わせ方法を検討して標準化を図り、ドローン点検の導入ハードルの低減を目指すとしている。

ドローンと特殊高所技術の組み合わせ方法

 ドローンと特殊高所技術を併用することで、点検精度を維持しながら点検の効率化を達成する。

ドローンの弱みをロープでカバー
上部工や支承部のように構造が複雑で照度が確保できない部材の点検が可能。
打音診断でないと判断できないコンクリートのうきを確認することができる。
鋼部材の点検が可能。

ロープの弱みをドローンでカバー
ドローンが活用できる範囲では、ドローン点検に置き換えることで点検効率をアップする。
吊元がない部材へのアクセスがしやすい。
デジタルデータが取得できる。

ドローンによる点検の課題

 橋梁点検は、2013年に道路施設(橋梁等)の定期点検が法定化され、2014年から省令に基づく5年に1度の近接目視点検を基本項目とした省令点検が開始・義務化された。

 しかし、点検員不足や維持にかかる予算確保、膨大な作業工数などが問題となり、2019年には定期点検要領が改定され、ドローンなどの新技術を用いた定期点検が可能になるなど、人の近接目視と同等の点検が行えるようになった。

 デジタル庁による「アナログ規制の撤廃」においても、橋梁点検で行われる近接目視による点検は「人力でなければ判断が難しい限定的な場合に限って目視、立ち入りによる検査等を実施」と分類されるなど、新技術による点検が推進されている。

 ドローンによる点検を橋梁の定期点検に使用するための基本的な流れとしては、受注者もしくは発注者が現場条件や構造、設置状況等を十分に把握したうえで、「点検支援技術の性能カタログ」から技術の特性および仕様を勘案して技術を選定し、選定理由と活用範囲、活用目的を「点検支援技術使用計画」として明示したうえで、点検業務発注者へ協議する。

 「点検支援技術使用計画」には、対象部位・部材・変状、活用範囲、活用目的、活用程度、使用機器と選定理由、そして精度管理計画が含まれる必要がある。精度管理計画には点検支援技術の誤差要因や精度を満たすための条件を明確化することが求められている。

 ドローンを定期点検で活用する場合は、このように精度管理を行いつつ適切な点検対象を選定し活用する必要があるが、現状では精度管理を行っていなかったりドローンでの点検を行うには適さない箇所に活用しようとしていたりということが起きている。