2023年3月30日、エアロネクストは、国際協力機構(以下、JICA)の2022年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業」において、「モンゴル国ドローン活用した医療品配送網構築に係るニーズ確認調査」が採択されたことを発表した。調査期間は、2023年6月から2024年1月を予定している。
JICAの支援を受けながら調査を実施することで、現在日本各地の自治体で展開している新スマート物流SkyHubの海外展開を目指す。
モンゴルは全人口の半数(約160万人)がウランバートルに集中しており、物流、交通面では慢性的に渋滞が起き、道路インフラ整備は不十分な状況だという。物流網が脆弱で救急車通行が妨げられる場合もあり、医療だけでなく経済活動にも悪影響が出ている。また、都市中心部での局所的なガソリン車利用による大気汚染も進んでいる。
一方、所得水準の向上およびIT・通信環境の整備によりEC利用者は増加しており、個別配送の需要は高まっているという。空の活用により即時性・経済性・環境面で持続可能性の高い物流インフラ構築が実現すれば、医療サービスを始めとする都市生活環境の改善に貢献できるという考えから、同社はモンゴル現地の事業者や団体と連携し、SkyHubの事業化に向けた調査・仮説検証を行っていくとしている。
なお、2022年はモンゴル・日本外交関係樹立50周年にあたり、同年8月にモンゴルで開催された「モンゴル・日本ビジネスフォーラム」において、日本における新スマート物流SkyHubの実績やAirTruckについて紹介を行い、反響があったという。
同社は調査事業を通してモンゴルの課題や住民のニーズに沿った社会インフラの整備を推進することで、同国におけるSkyHubの社会実装の可能性を検討していくとしている。
採択案件概要
提案内容
「モンゴル国ドローン活用した医療品配送網構築に係るニーズ確認調査」
調査期間
2023年6月~2024年1月(予定)
調査項目(抜粋)
1)飛行時の基本条件把握
・ 航空法、電波法などドローンを飛行させる上での基本的な法規環境
・ 各法規の管轄組織およびキーパーソン
・ 電波の通信状況
・ 気象条件(風・雨・気温など)
・ 河川ルートの把握
2)課題把握
・ 渋滞の常態化の一因となっている幹線道路を使った物資輸送の現状
・ 自動車利用によるCO2排出と季節別、エリア別の大気汚染状況
・ 医療分野での緊急輸送の現状(救急車の運用状況)
中小企業・SDGsビジネス支援事業では、開発途上国の課題解決に貢献する日本の民間企業等のビジネスづくりを支援し、また、政府開発援助(ODA)を通じて築いてきた開発途上国政府とのネットワークや信頼関係、ノウハウ等を活用した価値の共創に取り組んでいる。
2022年度は制度の利便性の向上、ビジネス化の一層の促進および開発インパクトへの貢献をさらに高めていくため試行的な制度改編を行い、普及・実証・ビジネス化事業に加えて、新たに「ニーズ確認調査」および「ビジネス化実証事業」を募集した。
エアロネクストが採択を受けたニーズ確認調査では、基礎情報を収集し、開発途上国のニーズと製品・サービスとの整合性を検証した上で、初期的な事業計画を策定する。