2023年2月28日、長野県天龍村とココネット、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、2023年2月27日に「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施したことを発表した。

 セイノーHDとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて行うもので、NEXT DELIVERYが実施した。天龍村中学校を起点として、次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指す。

(左より)エアロネクスト執行役員グローバルCMO/NEXTDELIVERY取締役 伊東奈津子氏、天龍村長 永嶺誠一氏、セイノーHD事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長 須貝栄一郎氏、ココネットグループ経営企画室室長 萩原哲也氏。
物流専用ドローン「AirTruck」が着陸する様子(天龍村小学校グラウンド)
ドローン配送されたお菓子等を受け取る児童(天龍村小学校グラウンド)

 長野県の南端部にある天龍村は、村の中央を天竜川が南流し、その支流が造るV字渓谷の中に集落が点在している。深刻な過疎化が進んでおり、買い物は飯田市へ出かける住民が多く、片道1時間程度の時間を要している。また、高齢化率は60%を超え、県内1位かつ全国でも3位。2021年度末時点で食料品を扱う商店は2店舗しかなく、店主の高齢化により存続が危ぶまれている状態だという。

 村では2022年度に公設民営によるミニスーパーを開設したが、買物難民が増加していることに加え、点在する集落までの道路も狭隘かつ代替道がない地域も多い。そのため災害時等は長期間孤立してしまう恐れもある。

 同実証実験により、村内の地域課題解決、ドローン配送導入による観光産業・経済の振興、地域雇用・人材育成・地域防災へのインフラ整備を推進していくとしている。

実施内容

 今回の実証では中山間地域での災害時を想定し、天龍村中学校に仮設ドローデポ(※1)を設置し、エアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を用いて、避難所指定の天龍村小学校、天龍村保育所への救援物資(カイロ、お菓子、食料品)を配送した。

※1 既存の陸上物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の集積・配送の拠点。荷物をドローン配送できる仕組みを持つ倉庫としての役割を持つ。

実証実験に使用した物流専用ドローン「AirTruck」
ドローン配送した、救援物資と想定したカイロやお菓子、食料品。

 なお同実証実験は、ココネットがプライムとなり、環境普及機構より令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。