2022年12月14日、Skydioは、鹿島建設が手掛ける山岳トンネル工事において、同社が提供するドローンとライブストリーミング機能により施工を支援していることを発表した。

 山岳トンネル工事において、切羽(掘削面)の地質観察は非常に重要な管理項目である。事前の設計段階では地質状況を正確に把握することが困難であるため、トンネル掘削時に切羽を直接観察し、地質に応じて適切な掘削を行う。掘削作業中は重機が複数台稼働し、岩盤崩落などの危険性も伴うため、近傍への人の立ち入りは基本的に禁止されている。そのため、これまでは切羽観察を行うたびに重機を停止させ、切羽から離れた安全な位置から地質観察を行っており、安全性と生産性のバランスが課題であった。

 今回、地下のトンネル内という非衛星測位システム(GNSS)環境下においても飛行が可能なSkydioドローンとライブストリーミング機能を活用することで、掘削作業を停止することなく、掘削中の切羽直近までドローンが近づいて撮影し、遠隔地からその状況をリアルタイムで観察することが可能となった。

 これにより、トンネル有識者が掘削現場に立ち会わずとも、地山の健全性をリアルタイムで判断することができる。また、掘削作業の過程で崩れる地山の様子を近距離から観察し、地山の硬軟・地質など詳細な性状を把握することで、トンネル壁面に吹き付けるコンクリートの厚さの合理的な決定や、亀裂や湧水の有無による補助工法の必要性の有無の判断など、状況に応じた判断や対応が可能となる。

 Skydioのドローンは、AIによる自律飛行技術、360°全方位障害物回避機能を搭載しており、マニュアル操作では飛行が難しい非GPS環境下や磁界環境下においても、Visual SLAMにより安定した飛行が可能。自律飛行技術により複雑な構造物もあらゆる角度から自動的に撮影し、Skydio 3D Scan機能を使い3Dモデルを提供する。

 遠隔操作を可能とするRemote Ops(リモートオペレーションズ)ソフトウェアを搭載したドローンポート「Skydio DOCK」は、クラウド接続型のドローンステーションで、現場の点検・監視、マッピング、状況確認などのタスクの可視化を、屋内外問わず自律的に行うことができる。

左「Skydio 2+」重量800g(バッテリー搭載)、持続飛行時間最大27分。右「Skydio X2」低温下や高温下でも利用が可能、赤外線カメラ搭載、重量1,325g(バッテリー搭載)、持続飛行時間最大35分。
ドローンポート「Skydio DOCK」