2022年12月2日、新潟県妙高市とKDDIスマートドローンは、「市内中山間地域においてモバイル通信を使用して目視外の自律飛行を実現するスマートドローンを活用した災害時物資搬送実証」を、2022年11月29日に実施したことを発表した。

 2022年度にKDDIスマートドローンが構築した、新井克雪センターから上小沢間のドローン飛行ルートにおいて、災害発生により陸上輸送が困難な状況下を想定した物資輸送の有効性を検証した。なお同実証は「妙高市先進技術実証業務委託」の一環として実施したものとなる。

実証イメージ

 全国的に異常気象による大規模災害が頻発する中、妙高市においても水害などで中山間地域集落の道路が寸断され一時孤立化するなど、安全を確保する対策が求められている。また平常時は、中山間地域の移動・買い物困難者へ日用品の配送を行うなど、同じ仕組みを流用することで多方面の課題解決が期待される。

 同実証では、台風による大雨災害の影響で土砂崩れが発生し、道路が寸断され、孤立集落が発生するケースを想定し、スマートドローン(KDDIの携帯通信ネットワークに対応したドローン)の目視外の自律飛行により、片道7km程度の飛行および最大3kgの物資搬送を実証し、効率的なドローン活用の有効性を検証した。使用したドローンは、プロドローン製「PD6B-Type3C」。

 同実証を踏まえ、両者はドローン利活用の検討を行い、地域課題解決を推進するとしている。

 妙高市では、中山間地域等の移動や日常生活に不便な地域における課題解決手段として、ドローンに着目している。ドローンを用いた収益性の見込める新たなビジネスモデルを構築することで、雇用の確保や市外企業の進出を誘導することを目的に、2021年度に「妙高市先進技術社会実装事業計画」を策定した。計画では、ドローンを活用した「山小屋での物資配送」「スキー場での物資配送」「緊急時物資配送」「農業分野での作業効率化」「観光分野での空撮」「橋梁等インフラ点検」「鳥獣害対策」「ドローン操縦者育成」の8分野について、今後推進すべき事項として掲げ、ドローンの活用を推進することとしている。

実証概要

実施内容

1. 2022年度にKDDIスマートドローンが構築した妙高市の新井克雪センターから上小沢間のドローン飛行ルート(約7km)において、災害発生により陸上輸送が困難な状況下を想定し、ドローンの目視外自律飛行と遠隔監視により約3kgの緊急物資を搬送した。

2. 実証で得られた成果をもとに、災害時におけるドローンの利活用や市内で完結する運用体制などを検討し、実用化を目指す。

実証で使用したスマートドローンプラットフォームについて

 モバイル通信を用いた遠隔監視・制御により、ドローンの目視外自律飛行を実現する。飛行状況のリアルタイムでの監視や、緊急着陸などの遠隔操作などを行うことができる。

使用したドローン

プロドローン製「PD6B-Type3C」

サイズ1,625mm(モーター軸間距離)
重量12kg(バッテリーを除く)
最大積載量最大30kg
飛行時間28分(ペイロード無し)