2022年11月9日、大林組とKDDIスマートドローンは、ドローンやAI、IoTなどを活用し、建設現場における生産性向上を実現するための技術開発に共同で取り組むことを発表した。
 その第一弾として、三重県伊賀市で建設中の川上ダム本体建設工事において、ドローンを活用した監視および測量に関する実証を実施する。

 2022年12月に、有人地帯(第三者上空)における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)に関する法整備が予定されるなど、ドローンの活用の幅は年々広がっている。建設業界においても、人による作業の代替や業務効率化など、生産性向上への貢献が期待されている。一方、無人地帯での目視外飛行(レベル3飛行)においても、運航安全性の向上のため新たな技術開発が求められている。

 両社は、大林組の現場施工管理の知見やノウハウと、KDDIスマートドローンが開発した運航管理システムなどを組み合わせることで、ドローンが目視外で自律飛行し、建設現場および既存インフラの巡視、点検、計測、異常検知を自動で行うドローンシステムの開発に着手し、川上ダム本体建設工事にて実証を行う。

 なお同実証は、国土交通省が募集した官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)に提案し、2022年9月10日に採択されたことを受け実施するものである。

 同実証では、現場に設置した充電ポートからドローンが離陸し、現場内を目視外無人飛行(レベル3飛行)で自律飛行しながら、機体に設置したカメラを使用して現場の状況を携帯電波網(LTE回線)経由でリアルタイムに配信するとともに静止画で撮影した後、充電ポートに着陸したドローンを格納する。

 飛行中に撮影した画像は帰還後に自動でクラウドにアップロードされ、関係者へ共有されるとともに、AI等を活用した解析や点群データ、オルソ画像への変換などを実施し、施工検討に利用する情報として出力する。

 この技術開発を通じて、現場に赴かないと確認できなかった現場状況の把握や、巡視測量時間の削減効果が見込まれる。

自動飛行ドローンシステムによる巡視・点検・計測・異常検知のイメージ