2022年4月18日、KDDI、KDDIスマートドローン、千葉県銚子市は、洋上風力発電設備のドローン自律飛行による点検の実証実験を実施し、高精度な点検結果を得られることを確認したと発表した。

 同実証は千葉県の「地域主導型新エネルギー活用プロジェクト支援事業補助金」を活用して銚子市沖で行い、2022年3月にプロジェクトを完了した。

実証実験の様子

 洋上風力はカーボンニュートラルの実現と再生エネルギーの主力電源化の切札として期待されている。洋上風力の導入が見込まれる一方で、風力設備の点検作業は人手でロープ高所作業を行うことが多く、点検・メンテナンスの省人化・効率化が求められている。

 同実証では、洋上風力発電事業の促進区域となっている銚子市にて、ドローン点検を商用提供しているKDDIの陸上風力設備のドローンシステムを活用し(※1)、洋上風力をドローンで点検できるか検証を行った。また、沿岸から遠く離れた沖合に洋上風力が建設されることを想定し、船上からのドローン離発着を実施した。

 実証の結果、ドローンのオートフライトによりブレード(風力発電設備の羽根の部分)の自動撮影や画像解析・レポート作成に成功し、洋上風力の点検項目を高精度で実施できることを確認した。

 今後3者は同実証で得た成果を基に、建設が進む洋上風力の効率的な運用を目指し、銚子市の地元企業との連携を進め、ドローンの活用を推進していくとしている。

※1 実証当時はKDDIのドローンシステムとして活用したが、ドローンに関する事業は2022年4月1日にKDDIスマートドローンに継承されている。

実証実験の概要

 洋上風力設備点検をドローンで効率的に実施できるか、以下の手順で検証した。

1. 船舶で銚子沖合3kmに設置されている洋上風力設備まで行き、点検用ドローンを船上から離発着させる。

2. ドローンは洋上風力設備の各ブレードの周辺を4方向から自動撮影するためオートフライトを行う。

3. 撮影された画像データは、AIによる自動解析を行うことで損傷箇所を抽出し、点検者は損傷レベルを確認・登録するだけで、損傷箇所の管理が可能となる。

4. 損傷箇所・損傷レベルの写真を自動でレポート作成する。

 実証の成果として、船上でのドローン離発着手法を確立。陸上風力設備点検と同等の点検時間で、軽微な損傷も抽出することができた。