セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、2月9日~11日に千葉県勝浦市において、住友商事と勝浦市商工会の協力のもと、新スマート物流の構築に向けたドローン配送実証実験を実施した。

 同実証を、買い物難民問題の解決と商店街の活性化を目指す「地域商店街との密着型ドローン物流」のモデルケースとする考えだ。
 具体的には、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」の社会実装に向けて、ドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクストの子会社であるNEXT DELIVERYが実施する。

荷物を届けて戻るドローン(ミレーニア勝浦)

 同実証では、勝浦中央商店街・興津商店街の商品を、別荘地や大学、小学校、寺、民宿、漁港にドローンで配送する「地域商店街との密着型ドローン物流」を想定し、仮設のドローンデポ(既存物流とドローン物流との接続点に構えるドローン配送のための倉庫)とドローンスタンド(ドローン物流の起点および終点に構えるドローンの離発着のための設備)を設置して、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを行う。
 高齢化が進み、商店街や観光業が衰退しつつある勝浦市において、買い物難民問題の解決と商店街の活性化を目指す。

 実施内容は、地域商店街の食料品や日用品の詰め合わせセット、勝浦タンタンメンやお寿司といった出前セット、災害時備蓄品を、仮設の2カ所のドローンデポからミレーニア勝浦、国際武道大学、豊浜小学校など6カ所の仮設ドローンスタンドまで(往復距離 約1.6km~4.6km)、ドローン(雨天時はトラック)配送するというもの。

 2月9日の実証実験では、国際武道大学のサッカー場で練習中のサッカー部員にバナナなどの食料を、ラグビー場には学生向けの食料・日用品セット、市役所の災害時備品・備蓄食料をドローンで配送した。豊浜小学校の生徒たちには、バレンタインデーのチョコレートを届けた。

国際武道大学ラグビー場に配送した災害備蓄品(国際武道大学)
配送を行ったドローンと小学校の生徒たち(豊浜小学校)

 2月11日の公開実証実験では、勝浦タンタンメンセットを興津集会所からミレーニア勝浦管理センター前まで(片道約1.7km)、約5分間でドローンにより配送。公開実証実験の後には、ミレーニア勝浦の住民に向けて食料・日用品セットの配送やフードデリバリーを行った。

ドローン配送された熱々の勝浦タンタンメン(ミレーニア勝浦)
実証で活用したエアロネクストの物流専用ドローン

 3社は実証後、商店街に荷物を集約化するドローンデポを設置するとともに、SkyHubアプリの勝浦モデルを構築し、ドローン配送と陸上配送を組み合わせた荷物配送、買物代行、域内配送、フードデリバリーといったサービスの検討を開始するとしている。