経済産業省 北海道経済産業局、イノベーションチャレンジ実行委員会、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクストは、2021年10月8日にノベルズの協力のもと、ドローン等を活用した牛の乳房炎の検体(乳汁)の配送実証を実施した。同実証は経済産業省「地域産業デジタル化支援事業」を活用したもので、ドローンと陸上のリレー配送において、温度管理、振動、ドローンと陸送との連携、リレー配送後の検査品質評価等を行った。その結果、安全性や品質維持に問題なく成功したことを11月17日に発表した。

今回運搬した48本の牛の乳房炎の検体(乳汁)
配送スタッフが検体を箱詰め

 牛個体の検査業務を実施するバイオ企業各社では、僻地である酪農地帯への検体の配送が物流側の人手不足により困難となりつつある。現状では運送会社を利用して運搬を行っているが、60kmの距離に約2日間を要することもあり、品質が損なわれる可能性が懸念される。

 新たな配送手段の1つとして、ドローンを活用した実証実験を実施。品質維持が実証できれば、より短時間での運搬が可能になる。今回は牛の乳房炎の検体(乳汁)配送に関して、温度変化、振動影響等の観点で評価を行い、ドローン配送の安全性と品質が損なわれないかの確認を行った。

ノベルズ上士幌本社敷地内を飛行する様子

 試験管に入れた牛検体(乳汁)48本を、エアロネクストの物流専用ドローンに搭載し、ノベルズ上士幌本社敷地内で20分間(約3km)の飛行を2回行った後、検体をセイノーHDのトラックに積み替え、ノベルズ研究所帯広センターまで配送。翌日、研究所にて検体の検査を行った。その結果、ドローン配送時の振動は検査品質に影響しないレベルであり、実用に耐えうることが確認できた。

 畜産業界でも少子高齢化による担い手不足という課題から、各テクノロジーの活用が求められている。また、乳汁に限らず血液や受精卵等の配送課題が多く、ドローン配送を含む新スマート物流の社会実装に期待が寄せられている。今後実用化に向けて、寒冷地の気候における実証等も視野に入れながら検討を重ねるとしている。

▼牛の検体リレー配送実証実験動画(エアロネクストYouTube)
https://youtu.be/T8agtCiAP4c