福井県敦賀市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクストは、ドローンを含む次世代高度技術活用により地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた包括連携協定を11月10日に締結した。

 この協定は、敦賀市が目指す水素・再生可能エネルギー・ゼロエミッション物流等の脱炭素化の取り組みによる高齢化や過疎化等の地域課題の解決に向け、敦賀市愛発(あらち)地区のドローン配送実証実験を含む次世代高度技術を活用して新しい物流ビジネスモデルを構築することを目的としている。

(向かって左より)愛発地区区長会長 前川豊氏、敦賀市長 渕上隆信氏、セイノーHD執行役員 河合秀治氏、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏

 この連携協定により3者は、市の課題や市民のニーズに沿って、地域雇用および人材教育・人材育成・産業基盤整備、持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくり、地域防災や地域の脱炭素化への貢献および新しい社会インフラの整備を推進する。

 具体的には、商店の廃業などで買物や医療の課題を抱える愛発地区において、ドローン配送を含むオンデマンド配送サービスや買物代行サービスの実証実験を実施する。また、セイノーHDとエアロネクストが推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」の社会実装に向けた検討を行う予定である。

エアロネクストの最新物流専用ドローン

各者コメント

敦賀市長 渕上隆信氏

 ドローンを含む次世代技術の活用により、地域の生活を便利にし、住みやすい地域をつくるとともに、防災などにも役立てていきたいと考えております。

 また、敦賀市は、ゼロカーボンシティを宣言しましたが、ドローン配送を含むスマート物流の取り組みは、脱炭素にも大きく貢献するものと考えており、本市のみならず、我が国の2050年カーボンニュートラルの実現にも大きく貢献する取り組みになると考えております。

愛発地区区長会長 前川豊氏

 愛発地区は、昨年、地区にあった唯一のコンビニが廃業し、買物は市街地まで自動車で行く必要が生じています。しかしながら、自動車を運転できない高齢者も多く、今後も高齢化は進んでいく見込みです。ドローンも活用した買物代行などのサービスには、大きな期待を持っています。

 生活が便利になることで、自然豊かな愛発地区が住む場所として選ばれることにも期待しています。

セイノーHD執行役員 河合秀治氏

 セイノーホールディングスは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。中でも物流におけるドローンの活用については、省人化、無人化の領域で期待するテクノロジーの一つです。物流が担う役割やテクノロジーの実装がいかに住みやすい環境づくりと住民サービスに繋がるかを追求したいと考えております。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏

 エアロネクストは、セイノーグループと協業してドローン配送を含む新スマート物流“SkyHub®”を開発し、山梨県小菅村と北海道上士幌町で社会実装を進めています。大きな市街地と市の一部に過疎地域が存在する敦賀市で、同じ課題を抱える日本の多くの市町村のロールモデルとして、ドローンなど新しいテクノロジーを活用した新たな社会インフラを構築し、過疎地域の人々の生活の質向上や利便性の復活に貢献できる市街地との連携サービスをつくり上げたいと思います。