2022年1月7日、テラドローンは、同社の海外グループであるユニフライが、ベルギー、オランダ、ドイツの3カ国で行われているドローンによる医療輸送の実証実験「SAFIR-Med」に参画していることを発表した。

「SAFIR-Med」のイメージ

 国際連合が2018年5月に公表した報告書によると、2050年までに世界の人口の約70%が都市に住むようになると予測されている。人の移動が都市部に集中することから、アーバン・モビリティーにおけるさまざまな課題が浮上する中、緊急対応が可能で信頼性の高い医療輸送を実現するソリューションとしてドローンが注目される。

 SAFIR-Medは、人口や建造物が密集する都市部で、ドローンが安全性を担保しながら医療活動をサポート可能か検証するための実証実験である。ドローンだけでなく有人航空機と組み合わせた医療活動を想定し、安全で持続可能かつ社会的に受け入れられる方法で医療活動へのドローン採用を推進する。

「SAFIR-Med」のイメージ

 欧州では、2023年1月に施行される欧州規則を見据えたドローンの航空管制管理システム「U-スペース」の開発が進められている。SAFIRは、U-スペースを実際の環境や社会と統合していくことを目的に幅広いドローン活動を行うためのコンソーシアムで、U-スペースを稼働させるために連携不可欠な複数の企業・団体が参画している。

 2回目の実証実験となるSAFIR-Medは、ベルギーの航空交通管制局(ANSP)のSkeyesや、その子会社であるU-スペースサービスプロバイダのSkeyDrone、ドイツのU-スペースサービスプロバイダのDroniqなど、空域を管理する欧州各国の企業がサポートしている。また、空飛ぶクルマの企業である中国のEhangが参画している点でも、注目の集まる実証となっている。

 ユニフライはドローン運航管理システムであるUTMを開発しており、欧米5カ国で導入実績を持つ。これまで、各国のドローン商用化や市場拡大を目的としたプロジェクトに参画してきた。
 ベルギーのアントワープ港で行われた1回目の実証実験では、さまざまな制限下で検査などのドローン操作を安全に行うことが可能であることを実証。2回目の実証実験となる今回は、ドローン運航管理システムの技術提供を行い実証実験を先導する。

 テラドローンは2021年より空飛ぶクルマ領域へ本格的に参入。2022年に予定される日本国内のドローン規制緩和を見据え、ユニフライの実績と知見を活かしながら安全で効率的な飛行を実現する運航管理を検証し、低空域のインフラにおける課題解決を目指すとしている。