KDDIとKDDI総合研究所、プロドローンは、2021年11月17日に水空合体ドローンを自律飛行させ、遠隔で水中の様子を撮影する実証に成功したことを、2021年12月14日発表した。
空中ドローンと水中ドローンが合体し、空を飛び、水に潜ることができる水空合体ドローンは、モバイル通信に対応しており、自律飛行・遠隔操作および、空中・水中カメラ映像のリアルタイム伝送が可能。音響測位装置により、GPSが使えない水中でも位置情報を確認しながら潜航・撮影を行うことができる。
同実証では水空合体ドローンを活用し、洋上風力発電設備の点検および漁礁となる藻場の状況調査を想定し、水中の撮影を実施した。従来の水中撮影は、都度大型の船を出しダイバーが水中に潜って撮影をしていたが、同実証の成功により今後、コストと時間の削減が期待される。
なお同実証は電源開発の協力のもと、同社の若松総合事業所にて実施した。
3社は今後も水空合体ドローンを通じて、スマートドローン(KDDIの携帯通信ネットワークに対応したドローン)の活用の場を水中へと広げ、水産業や水中インフラ点検など危険を伴う水中作業をより安全に、効率的に行うことができるよう実証を重ねていき、水空合体ドローンの実用化に取り組むとしている。
水空合体ドローン
空中ドローンと水中ドローンを組み合わせることで、空を飛行し水中に潜ることができる。水中ドローンをケージに収め、遠隔操作によりドローンの離脱・回収が可能。
モバイル通信によりスマートドローンプラットフォームに接続することで、遠隔での自律飛行指示や、空中・水中カメラのリアルタイム中継を見ながら水中撮影を行える。
音響測位により水中ドローンの位置をマップ上で確認しながら操作が可能。水中ドローンに装着した音響発生装置の信号を水面の空中ドローン内の音響受信装置で受信し、両方のドローンの位置測位結果を合成することで水中ドローンの位置を特定する。
船を出さずに沿岸から水中の様子を確認できることから、日常的に船で養殖場や定置網の様子を確認している水産業監視、洋上風力発電設備・ダム・橋脚などの水中インフラ点検、出航前の船底点検、ブルーカーボン(海での二酸化炭素吸収)量の測定など、さまざまな用途での活用が期待される。