2021年5月17日、ワイズ技研は、徳島県小松島市にある「いきいきファーム立江」の圃場で、ドローンを使用したオーガニック酒米「山田錦」の種籾直播を実施したと発表した。
 この活動は、ワイズ技研が地元団体と連携して農業のDXを促進することで地方の活性化を目指す「Y'sSmartAgri」の第一弾に当たる。

 農業では、個人経営体の従事者数が5年前に比べ22.4%減、農業従事者数に占める65歳以上の割合は約70%(※1)と、担い手の減少と高齢化による労働力不足が深刻になっている。労働力不足解消に向けて外国人材の受け入れを推進してきたが、コロナ禍に伴う入国制限により見通しが立たない状況だという。

 ワイズ技研では、ドローンを利活用した農業業務の効率化に向けて2018年に「SkyFarm」を立ち上げ、散布事業をスタート。事業を通して現場の声を聞き、稲作で作業負担が大きい田植え業務をドローンで行い業務負荷軽減を図るため、ドローンで水田に種籾を直接播種する「直播」を本年度より本格的に開始した。

 このドローン直播では、マイファームの協力により種籾を鉄粉でコーティングした「鉄コーティング種子」を使用している。鉄で覆うことにより種籾が重くなり、水に沈みやすくなるためだ。

Farm19(いきいきファーム立江)ワンダーアグリ× ワイズ技研SkyFarmによる酒米「山田錦」のドローン直播実験 2021.04.24(Farm19 YouTubeチャンネルより)

 ドローン直播を取り入れることで、従来ハウスで行われてきた種子からの育苗や、苗床を運ぶという重労働がなくなり、効率化と負担の軽減が期待できる。
 種籾の直播自体はこれまでも各地で試行されてきたが定着に至っておらず、ドローンやIoTデバイスの農業への実装が始まる中で、改めて注目されているのだという。今後、直播の課題を解決していくことで運用を現実的なものにしていく方針だ。

 またワイズ技研は、播種後から収穫までドローンで生育状況を撮影・解析、データに基づき最適なタイミングで的確な作業を行うことで、精密かつ効率的な農作業の実現を目指しており、今回の取り組みでも、植生状況を把握するためのNDVIデータ取得を実施している。今後若い人材が積極的に農業に携わるきっかけとなる環境を作り、地域の活性化に貢献するとしている。

※1 農林水産省「2020年農林業センサス結果の概要(確定値)」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/attach/pdf/index-2.pdf