2021年5月12日、「大阪のてっぺん」天王地区スマート農業推進コンソーシアムは、大阪府能勢町天王地区で、ドローンによる水稲の種まきを実施すると発表した。

 同コンソーシアムは能勢町天王地区においてスマート農業を推進しており、今回のプロジェクトは稲作の省力化技術の実証実験の一環として、5月15日に実施。水田に水を張った状態で種もみを播種する水稲直播という手法を使いドローンから種もみを散布し、稲作における労働時間短縮の効果を測定する。

水稲直播のイメージ

 一般的な稲作は、種もみを苗に育て、水を張った水田に田植え機でコメを植え付けるが、水稲直播栽培は水を張った水田に種もみを播くため、苗を育てたり田植え機で植え付けたりする作業が不要となる。通常の栽培方法と比較して、労働時間は約2割、10a当たりの生産コストは約1割の削減効果があると報告されている(※1)。

 また同コンソーシアムでは生育管理に取り組むことで、田植えを行う作業の削減、薬剤や肥料散布の時間削減、水田の均平測量や生育の違いを可視化することによる生育向上を目指しており、コメの収量を5%〜10%向上、作業時間を最大75%削減することを目標としている。

 実証実験を行う能勢町天王地区は、大阪府最北端にあり「大阪のてっぺん」と言われている。標高約500mに位置し、人口は約130人。57世帯のうち48戸が農家だ。主な農産物は米で、耕地面積38.9ha。山に囲まれた小さな集落である。
  令和2年度は外部の協力業者に作業を委託して直播作業を実施したが、中長期的なコスト節減のため、本年度からは協力業者の支援の下、地元生産者が自ら操縦して直播作業に取り組む。

 本プロジェクトにより、高齢化が進み、農業の担い手が減少している天王地区をスマート農業で盛り上げ、関係人口・交流人口の増加につなげることで地元の活性化を目指す。

大阪府能勢町天王地区

※1 農林水産省生産局「米の直播技術等の現状」平成20年3月
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/zikamaki/z_genzyo/attach/pdf/index-9.pdf