2020年12月24日、自律制御システム研究所(以下ACSL)とエアロジーラボ(以下AGL)は、AGLが開発した最大飛行時間180分、最大飛行距離120km、最大ペイロード10kgのハイブリッドドローン「AeroRange PRO」に活用されているハイブリッド技術を活用したドローン機体の開発・製造委託契約を締結することを発表した。
 本契約により、AGLはハイブリッド技術を用いたドローン開発のノウハウを提供し、ACSLは自社開発にとどまらず他社との連携を積極的に行うことで要素技術開発から製造・販売までのバリューチェーンを構築。これにより、長時間・長距離飛行が可能なドローンの提供を実現する。

AGLのハイブリッドドローン「AeroRangePRO」

 ドローンは、日本における少子高齢化に伴う様々な社会問題解決のためのロボティクス技術の一つとして注目されている。ドローンの活用は、物流・インフラ点検・災害分野において特にニーズが増えており、社会実装への期待が高まっている。しかし、多くのドローンに使用されているバッテリーは飛行時間が長くても30分程度であり、それ以上飛行させるにはバッテリーを交換しなければならず、長時間・長距離飛行が難しいという課題があった。

 ACSLは、2020年8月発表の中期経営方針「ACSL Accelerate FY20」において、2022年度の都市部での目視外飛行(レベル4)の実現を見据えた産業用ドローンの社会実装を推進している。目視外飛行での物資輸送の実証経験や風力発電機等のインフラ点検の実績を有しているが、ドローンの社会実装を進める上で長時間・長距離飛行が可能なドローンの開発が重要だと考えていたという。

 AGLは、エンジンとバッテリーのハイブリッド技術を活用することで最大飛行時間180分、最大飛行距離120kmを可能とするハイブリッドドローンAeroRange PROの開発を進めている。同機の開発において、ACSLはAGLに対して独自のフライトコントローラーを開発・提供していたが、本契約により連携を強化し、ACSLはAGLのハイブリッド技術を用いた機体開発を進めることで、長時間・長距離飛行が可能なドローンの社会実装を目指していく。

 また、ACSLは国土交通省が設定する最大離陸重量25kg以上のドローン飛行許可を取得し、国内物流領域でのハイブリッドドローンの社会実装を加速させるとともに、東南アジア等海外での利用拡大を進めていく、としている。

目視外飛行での物資輸送の実証経験を多数有するACSL物流用ドローン「ACSL-PF2」