2020年5月12日、エアロジーラボは、「 “純国産” の次世代ハイブリッドドローン」の開発を進め、試作初号機「Aerorange pro」を開発したことを発表した。併せて、リバネス、KOBASHI ROBOTICSならびに成光精密と、ハイブリッドドローンの試作から量産までのシームレスな製造体制構築に関する業務提携を行った。また、本体制で製造したドローンを活用し、岡山県和気町で実証を行う。

5月14日に行われた合同記者会見で公開された「Aerorange pro」

 近年、物流へのドローン活用の期待が高まっている。しかしながら、従来のバッテリードローンでは、飛行時間と積載重量の両面に課題があり、実証が進んでいない現状がある。エアロジーラボが開発を進めるエンジンとモーターの両方を活用するハイブリッドドローンは、この課題を解決し、長距離・長時間・大量輸送を可能にする。

 初号機の「Aerorange pro」は、エンジン発電機とバッテリーを搭載することで最大飛行時間180分、最大飛行距離120km、最大ペイロード10kgを実現する。一般的機体と比較し、3〜4倍の長時間飛行可能で、今後、物流や災害対策、農業用途など様々な場面でその利活用が期待される。また、自律制御システム研究所(ACSL)と連携し、同社のフライトコントローラーを採用。さらに、“純国産” 化へ向けて、ハイブリッド型パワーユニットの共同開発をヤマダパワーユニットと進めており、今年度中をめどに実用化を目指している。

 「Aerorange pro」の開発において、オープンイノベーション拠点「Garage Minato」を運営する成光精密は、スタートアップ支援事業「Garage Minato研究開発プロジェクトサービス」の一貫として、同社が持つ関西圏町工場ネットワークから本開発にチームを組成し、インデックスとともに製品開発の支援を行ってきた。国内町工場への製作委託を含め、これまで主に中国製の部品を組み合わせて作られていたドローンを、大阪を中心とする町工場の技術連携・製作により純国産として開発することに成功した。

 さらに今後の「Aerorange pro」の量産化に向け、製造プラットフォーム構築支援を行うリバネスと、試作を主導した成光精密、量産化を見据えたものづくりの各工程を包括的に支援するKOBASHI ROBOTICS、そしてエアロジーラボの4者により、試作から量産までのシームレスな製造体制を構築する。開発された量産試作を用いて、2018年よりエアロジーラボが連携している岡山県和気町にてドローン物流の実証を行い、事業化を加速させる。

 本提携により、従来では試作・量産試作・量産と縦割りのプロセスごとに異なる事業者が、個別最適化を行うことで社会実装までに多大な時間とコストが発生する「スタートアップの量産化の壁」という課題を解決する。

5月14日に行われた記者会見での様子