2020年11月30日、兵庫県は、新産業創造研究機構が同県より受託した「ドローン先行的利活用事業(官民連携分野)」において、兵庫県内企業である新明和工業が開発した、長時間飛行可能な固定翼型無人航空機(以下、固定翼型ドローン)を用いた広域空間の環境観測を実施することを発表した。

 なお、本年度、同事業では下記4件が採択されている。

・長時間滞空電動固定翼による大気汚染モニタリング
 採択事業者:新明和工業、日本気象、神戸大学

・ドローンによるリモートセンシングを活用した新しい営農指導手法の確立
 採択事業者:全国農業協同組合連合会兵庫県本部

・水中ドローンを活用した人工漁礁の水産資源調査
 採択事業者:JOHNAN

・AIを活用した玉葱ベと病の感染株の特定
 採択事業者:フィールドコム

固定翼型ドローンによる長時間環境観測

 マルチコプター型ドローンによる環境観測は多数報告されているが、長時間飛行させる事が難しく限られた範囲・高度でしか観測出来ないことから、広範囲・高高度での観測が期待されている。
 当該固定翼型ドローンは、排気ガスを生じないLiPo(リチウムイオンポリマー)電池を動力源とし「長時間滞空能力」に長けていることが特徴であり、高高度の飛行が可能な機体である。なお、固定翼型ドローンによる長時間かつ高高度の環境観測事業は、本実証試験が国内初になるという。

実施概要

 新明和工業が独自に開発した固定翼型ドローン(※1)を地表500mまで飛行させ、上空の大気汚染物質濃度を測定し、取得したデータを解析する事により、地上観測では分からない上空の大気汚染物質濃度を知る事が可能となる。また、大気汚染物質の3次元空間分布とその時間的変化は地表付近の濃度変動を説明する上で重要なデータとなり、大気汚染濃度の予報に役立つことが期待できる。
 さらに、この種のデータを用いる事により、大気化学物質輸送シミュレーションの予測精度を向上させ、人の健康や気候影響に関与する大気汚染物質の効果的・効率的な対策に役立てる事が可能である。

※1 環境に配慮し、排気ガスを生じないLiPo電池を動力源としながら長時間滞空能力に長けた固定翼型ドローン。観測・監視・通信などの幅広い分野での応用が期待されている。最大飛行時間は4時間と、長時間・長距離の飛行が可能であるため、広範囲な3次元空間の環境計測が可能。なお、本ドローンは本年10月に、3時間42分の連続飛行にも成功している。固定翼型無人航空機"XU-S" 長時間の飛行試験に成功(2020年10月23日 新明和工業)

日時・場所

実施日 :2020年12月2日(水)
飛行時間 :11時~12時 飛行1回あたり約1時間(予定)
※ 雨天、強風等荒天の場合は中止し、翌3日(木)に実施。
住所 :淡路市生穂新島8番1
飛行経路

委託事業者

新明和工業 :固定翼ドローンの運用・整備を担当
日本気象 :計測機器の較正・運用を担当
神戸大学 :取得データの解析を担当

使用機体

新明和工業製固定翼型ドローン
全長×全幅×全高:2.5m×6.0m×0.4m
機体重量 :25kg未満
飛行時間 :最大4時間