2020年11月20日、レイヤーズ・コンサルティング、NTTドコモ、NECネッツエスアイ、東京大学(大学院情報学環中尾研究室 中尾彰宏教授)は、ローカル5G等の実現に向けた漁業分野における海中状況可視化システム構築の調査検討を開始することを発表した。
 これは、ローカル5G等を活用した地域課題解決を実現するため、総務省の「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(※)の一環として実施するものである。

 漁業分野においては、牡蠣養殖の斃死(へいし)による生産低下が課題であり、牡蠣養殖場の環境変化や牡蠣と競合する付着生物等の影響低減に向け、海中の可視化、環境データの取得が重要となっている。しかし海中の状況を広範囲にダイバー等で確認することは困難であるため、海中における状況把握にロボット(水中ドローン)の活用が期待されている。

 今回の調査検討ではローカル5Gを活用して、機能・性能の異なる2機種の水中ドローンを使用し、高精細映像伝送を行うことで養殖場における海中状況を可視化する。また、センサーによる環境データの取得が可能なシステムを構築することで、地域課題解決に向けた取り組みを推進する。2021年1月から2月にかけ、広島県江田島市において以下の課題実証・技術実証を行う予定である。

※ 令和2年度「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」における実証内容の決定(総務省)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000280.html

実証概要

①課題実証
・陸上(遠隔地)からの水中ドローンの遠隔操作と海中の状況の可視化に関する実証
・水中ドローンで取得した高精細映像と海面養殖場およびその周辺の環境データ(水温や塩分濃度等)を組み合わせた殖漁場の環境分析に関する実証

②技術実証
 海上におけるローカル5Gの通信品質を確認し、海上におけるエリア構築について考察するとともに、ローカル5Gとキャリア5Gの共用検討を実施

 水中ドローンを活用した遠隔での海中状況可視化システムにおいては、ローカル5Gを活用して水中ドローンを陸上から遠隔操作し、海中の状況を可視化することにより「養殖する牡蠣の生育に影響を与える付着生物の状況」をリアルタイムで把握することが可能。その結果、漁業従事者の労働環境の改善が実現し、結果として牡蠣の海面養殖における生産性の低下の歯止めに繋げられると期待される。

実証体制