三信建材工業株式会社は、2024年7月24日から26日に東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024」における第10回国際ドローン展に参加。ドローンやロボットを用いた建築・土木におけるインフラ点検のソリューションや外壁補修の新しい素材などを紹介した。

写真:展示された黒いボディのドローン
道路橋点検などに利用するドローン

ドローンの導入による橋梁点検のコスト削減と効率化

 三信建材工業は、東海地区にて建築・土木分野での防水事業を中心に、外装塗装事業や点検補修事業を展開する企業。建物の防水塗装工事を行うにあたり、点検が必要となるが、その際に足場を組む手間やコストを減らすために、およそ10年前からドローンやポールカメラなどの新しい技術を活用している。

 担当者は「橋梁点検の場合、専用の車両を使うことが一般的です。しかし、橋の幅が非常に広い場合などは、大きな車両が必要となり、レンタルコストが1日で70万~80万円かかることもあります。さらに、通行止めが必要になるため、社会的な負担も大きいです。ドローンは、コスト削減やそして交通渋滞の緩和を目的として注目されています」と語った。

3次元モデルによる点検データの活用、効率的な情報参照を実現

写真:「非GNSS環境対応型ドローンを用いた土木・建築構造物点検サービス」紹介パネル
ドローンやポールカメラによる点検で、コストや業務負担の軽減に貢献

 ドローンやポールカメラを使用することで、現場での点検時間の短縮が期待できる。従来の方法では、人が実際に近づいてひび割れの幅を測り、写真を撮って図面に記録する作業を繰り返していた。しかし、ドローンを使うことで、現場ではただ撮影するだけで済むため、作業が早く終わる。撮影後は、ドローンによる撮影データを3次元モデルに変換する。3次元モデルは、異常箇所をクリックするとその場所の写真が表示されるようになっている。

写真:モニターに表示された3次元モデル
3次元モデルに変換すれば、情報の参照も手軽になる

 なお、同社ではGNSS衛星の信号が届きにくい環境でのドローン点検を可能にする技術を持っている。橋梁桁下は床版や橋脚、樹木などが障壁となり、GNSS測位を用いた制御では位置情報の誤差や乱れが発生し、操縦不能になる危険がある。そこで同社では非GNSS環境でも安定した飛行や自律飛行が可能な技術を搭載したドローンを使用し、GNSSの位置情報を一切使わず安定した撮影と高精度な画像解析を実現している。

 また同社では一般的な橋梁だけでなく、水道インフラ点検に関連する新技術も開発している。担当者は「2021年に和歌山市で水管橋崩落事故が発生し、甚大な被害が出ました。これは老朽化が原因だったのですが、私たちも水道関連の公益財団法人が実施しているプロジェクトに参画して実証実験を行っています」と説明した。

 ドローンなどによるインフラ点検ができる人材育成活動も展開している。自社だけでは全国のニーズに対応しきれないためだ。従来の方法で点検を行っている地域の事業者が主な対象となっており、ドローン操縦だけでなく、より簡単に検査ができるポールカメラの検査のやり方も伝えている。このほか、展示ブースでは、外壁を打診して点検するロボットや大学と共同研究した外壁補修材の展示もあった。

#メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024 記事