リベラウェアは、「狭くて・暗くて・危険な空間を、人の代わりに点検する」と銘打ち、屋内狭小空間の点検に特化したドローン「IBIS2(アイビスツー)」を紹介した。展示ブースの中央にはデモンストレーションエリアを広く設けて、会期中はほとんど常時、機体の手動操縦を実演していた。
デモ飛行は、煙突に見立てた筒状のエリアで機体を上昇させ、次に天井裏に近い狭さの空間を横移動、続いて下降後には透明な素材で内部がクリアに見える管路内を横移動して、元の位置に戻ってくるという内容だ。バッテリーは10分弱で交換となるが、このデモ飛行はほとんど常時行われており、多くの来場者が足を止めて、その安定飛行を手元のスマホ動画に収めていた。
また、至る所に機体も展示されており、その隣に置かれたタブレットでは活用事例なども紹介されていた。IBIS2は約20cm四方で高さ6cm弱、重さも機体とバッテリーで243gと、業界最小・最軽量クラスだ。人が入れない屋内狭小空間の点検を得意とする機体で、すでに導入企業は200社以上。点検業務の特定領域においては、まさに社会実装 “加速中” の機体といえるが、「今回の出展では、自治体さんにも広く知って頂きたいと考えている」という。
リベラウェアは、2024年1月1日に発災した能登半島地震において、JUIDAと連携して現地入りしたドローン企業の中では、主な活動地域である輪島市に一番乗りした企業だったという。同社ではもともと、「倒壊した家屋の中での捜索などは、IBISが災害救助でお手伝いできるのではないか」と、開発中から話題には上がっていたそうだ。実際、輪島市では人命救助の72時間は過ぎてしまったものの、家屋内の調査を実施。「外観は大丈夫そうでも床下を見ると、基礎がずれてしまっている状況を発見した」「被災証明に役立つデータを取得できた」などいくつかの場面で役立ったほか、電力施設の現況調査にも活用されたという。
一方で、課題もあった。警察や消防の業務フローに組み込まれていないことと、屋内用の小型点検ドローンの認知度がまだまだ低いことから、現場で隊員らが映像を見て使えそうだと思ったとしても「いきなり使うのは難しい」というリアクションが大半だったようだ。
そこで今回の展示は、屋内狭所点検ドローンIBISが、災害救助の現場でどのように活用できるのかを、自治体の担当者にもしっかりと伝えることを主眼に置いた。同社は今後、自治体との災害時協定なども視野に入れて連携を図っていくという。「前向きな回答もいただけている」と、本出展での手応えも感じているようだ。
また、今回は機体(ドローン)をメインに打ち出していたが、3次元データを管理できるデジタルツインソフトウェア「TRANCITY」の紹介もパネルで行っていた。能登半島地震後、福井県と共同でTRANCITYを活用したエリア3次元化の実証実験を行った実績があるとのことで、これから自治体DXを加速する一助になることが期待される。