ドローンをはじめとしたロボットの自律システムを開発するAutonomyは、主力製品である「Surveyor-Ⅰ」をベースにしたソリューションを出展。また、同社のフライトコントローラー技術を応用した管路点検用UGVや、橋梁点検の報告書まで作成できるソフトウェアなど、ドローン以外のソリューションもプレゼンテーションしていた。
富士フイルムのGFX100Sを搭載した精密点検ドローンの性能
展示していた製品の中でも特に力を入れていたのが、富士フイルムの中判デジタルカメラ「GFX100S」を搭載した点検用ドローンだ。GFX100Sは35mm判の約1.7倍の面積があるラージフォーマットの1億200万画素CMOSセンサーを採用した中判カメラで、35mm判以下のフォーマットに比べて高精細な撮影が可能。AutonomyではこのGFX100Sを、Surveyorにジンバルを介して搭載することで、今までの点検向けドローンに比べてより精緻な点検が可能なソリューションとしてリリースすることを予定している。
これまでにも富士フイルムのGFX100シリーズをドローンに搭載する例はあったが、Autonomyでは富士フイルムからLinuxベースのSDKの供給を受けるとともに、ソフトウェア開発についての支援を受けており、コントローラーからシャッターをはじめ、カメラの制御を可能としたのが最大の特徴だ。現在、開発段階であり「7月には開発に関するプレスリリースをする予定」(説明員)だという。
1億200万画素の中判カメラで撮影した画像は、被写体とカメラの距離が同じ場合、当然ながら高精細な画像が得られることは言うまでもなく、「5mの撮影距離の場合、検出できるクラック(ひび)の幅が35mm判では1.2~1.3mmであるのに対して、本機では0.04mmのクラックまで発見できる」(説明員)という。
この高精細な画像が得られるラージフォーマットを使うことで、「0.1mm以下のクラックが検出できる場合は、打音検査が不要になる」(説明員)といい、点検効率の向上といったメリットが得られるとしている。
24時間無人点検を可能にするSurveyor-Ⅱの新技術
このほかAutonomyではSurveyorを使ったソリューションを展示。ひとつはワイヤレス給電システムと組み合わせた「Surveyor-Ⅱ」で、ワイヤレス給電・充電専業メーカーであるB&PLUSと共同開発したものだ。約50cm四方の送電ヘッドと、ドローンに取り付けた約20cm四方の受電ヘッドの間で非接触充電を行うことができる。「ヘリパッド一体の送電ステーションコイルは、機体が中心から20cm程度ずれても給電できるのが特徴」(説明員)だという。
さらにこのシステムは「最大30Aで給電が可能であり、Surveyorのバッテリーを約30分で充電することができる。同機は満充電で約40分飛行できるため、2機体制にすれば24時間無人で点検や警備といったミッションを行うことができる」(説明員)としている。
Autonomyは「Surveyor-Ⅲ」として有線給電ソリューションも出展。Surveyor-Ⅰに独自に開発した有線給電地上設備をケーブルで接続。このケーブルは最大110mあるが、細くて丈夫、軽量であり、さらに給電しても熱を持ちにくい。同社では36時間の連続飛行の実証にも成功しており、災害時の無線や携帯電話の中継基地局としてや、昼夜の長時間監視といった用途を想定している。すでに、官公庁への実績もあるという。
管路点検用UGVと50kgペイロード対応ドローンの実績と用途
AutonomyのブースではさらにクローラスタイルのUGVを展示。本機はダムの送水管点検用のUGVで、レーザースキャナを搭載しており、SLAMでリアルタイムに地図を作りながら自己位置を推定することができる。ダムの送水管は管路内にゴミや動物といった障害物が存在することがあり、これらを回避して走行する必要がある。本機はSLAMによりこうした障害吊物にぶつからないように走行することが可能で、片道10kmの管路内を撮影して再び10kmの道のりをバックで戻ってくるという実績を残しているという。
また同社では50kgの推奨ペイロード性能を備えた大型運搬用ドローン「Surveyor-X」も展示。「飛行時間が8分程度にはなるものの、最大で70kgのペイロードを搭載することが可能」(説明員)で、山間地の高速道路や新幹線の法面の工事現場などで、資機材の運搬用途を想定している。