ドローン測量において、高精度な測量技術は欠かせない要素となっている。そんな中、テラドローンは新たに「Terra Lidar R」と「Terra Lidar Dual」の2機種のLiDARを開発し、発表した。これにより、同社のTerra Lidarシリーズは、従来の「Terra Lidar X」と合わせて3機種体制となり、ユーザーの多様なニーズに応えるラインアップが揃った。

コストパフォーマンスに優れた「Terra Lidar R」

 今回の新機種「Terra Lidar R」は、独自開発による高性能とコスト削減を実現した画期的なモデルである。従来の「Terra Lidar X」は、リーグル社のLiDARを採用しており、計測精度は5cmと高精度な測量性能で知られていたが、価格が約3000万円と高額であった。これに対し、Terra Lidar Rは価格を約3分の1に抑えながらも、性能面での向上を果たしている。

 具体的には、Terra Lidar Xのレーザー照射点数が30万点/秒であったのに対し、Terra Lidar Rは50万点/秒に増加した。さらに、エコー数も5から8に増え、計測可能高度も70~100mから100~120mへと広域に対応している。

ハンドヘルドとしても活用できるエントリーモデル「Terra Lidar Dual」

 テラドローンはエントリーモデルとして「Terra Lidar One」を取り扱ってきたが、新たに「Terra Lidar Dual」を開発し、エントリーモデルとしてラインアップに加えた。測量における性能面はTerra Lidar Oneと同等であり、Terra Lidar Dualには新たにハンドヘルドキットを用意することで地上測量も行えるようになっている。

 ドローンによる上空からのレーザー測量では、地形や植生の影響でデータ取得が難しい場所が存在する。そこで、Terra Lidar DualはSLAMモードを搭載し、ハンドヘルドキットを用いることで手持ちによる地上測量が可能になる。これにより、上空と地上のデータを統合し、高精度な測量を実現する。また、価格はTerra Lidar Oneと同等であり、当分の間は両製品が併存して取り扱われる予定である。

カメラの一体化でオルソ画像に必要な撮影も同時に

 さらに、Terra Lidar RとTerra Lidar Dualには、LiDARに加えてカメラが搭載されている。従来はLiDARによる点群データに別途撮影した写真データを重ね合わせて色付き点群を生成していたが、このプロセスは手間がかかっていた。

 新たな2機種では、カメラを一体化することでレーザー測量やSLAMによるデータ取得に加え、写真撮影が可能となり、1度の飛行でオルソ画像の生成まで完結する。

 また、Terra Lidar RとTerra Lidar DualはDJI社のMatrice 300 RTK/350 RTKに搭載可能であり、Terra Lidar Rは石川エナジーリサーチのBuild Flyerにも対応している。これにより、流通量の多い主要なドローンでの利用が可能となり、ユーザーの運用の柔軟性が向上する。

 テラドローンの新しいTerra Lidarシリーズは、コストパフォーマンスと高性能を兼ね備えたモデルとして、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。今後の展開にも注目が集まる。

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