エアロセンスは、2024年6月5日に、垂直離着陸型固定翼(VTOL)ドローン「新型エアロボウイング(AS-VT01K)」が第二種型式認証を取得したことを発表した。VTOL型ドローンの第二種型式認証取得は国内初。
型式認証は無人航空機(ドローン)を対象とした設計および製造過程が安全基準(強度、構造、性能の適切性)や均一性基準(製造等業務の適切性)に適合するかを検査し、認証する制度。型式認証を受けた型式の無人航空機は、機体認証の際に機体ごとに行う設計、製造過程、現状検査の全部または一部が省略される。
エアロボウイングの運用コンセプトは離陸から着陸まで長距離を目視外で自動飛行するもので、この安全性と信頼性が基準に適合し認証された。なお今回の認証では、事前承認が必要な特定飛行のうち、目視外飛行が対象。機体認証を取得し、無人航空機操縦者技能証明の保有、飛行マニュアルの作成などの安全確保措置を行うことで、レベル3およびレベル3.5飛行(※1)での目視外飛行の事前申請が不要となる。
現時点で、VTOL型ドローンの技能証明には「回転翼航空機(マルチローター)」と「飛行機」の両方の資格が必要とされている。しかしエアロボウイングの運用には、通常時、非常時に限らず固定翼の手動操縦は必要ないことから、同社は技能証明取得の簡略化を働きかけている。
※1 レベル3飛行は、無人地帯において立入管理措置を行ったうえの目視外飛行。レベル3.5飛行は、無人地帯において従来求められていた立入管理措置のうち補助者の配置や看板の設置等を不要とした目視外飛行。
【エアロボウイング「AS-VT01K」諸元】
外形寸法 | 215×124×42cm(プロペラ含まず) |
機体重量(バッテリー含む) | 9.2kg |
最大離陸重量 | 10.2kg |
最大積載可能重量 | 1kg |
飛行可能時間 | 40分(ペイロード1kg積載時) |
最大飛行距離 | 50km(ペイロード1kg積載時) |
最高速度(対気速度) | 27.8m/s(100km/h) |
巡航速度(対気速度) | 18m/s(65km/h) |
最大バンク角 | 40° |
飛行可能風速 | 10m/s * |
動作保証温度(バッテリー含まない) | -5~40℃ |
飛行制御 | 飛行計画による自動航行 |
FPVカメラ | 2機搭載(前向き/下向き) |
安全機能 | LED灯火(赤/緑/白) 簡単操作でのマルチコプター飛行への遷移 緊急時のマルチコプター飛行への自動遷移 ** 自動帰還(無線切断、バッテリー残量低下時) 自動着陸(無線切断、GPS異常、バッテリー残量低下時) |
フライトコントローラー | 自社製フライトコントローラー |
センサー | 2周波GNSS、IMU、TOFセンサー(下向き)、対気速度センサー(ピトー管)、気圧センサー |
GNSS | GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo |
機体制御無線 | 2.4GHz、LTE |
2.4GHz 電波到達距離 | 見通し1500m(通常版)、見通し5000m(ハイパワー版)*** |
LTE通信モジュール | 標準搭載(KDDIもしくはNTTドコモに対応) |
型式認証 | 第二種型式認証 |
生産国 | 日本 |
* 固定翼飛行時
** 機体の姿勢が大きく崩れた時、高度が低下した時に自動遷移
*** ハイパワー版は第三級陸上特殊無線技士の資格が必要