10月に千葉・幕張メッセで行われた電子技術の展示会「CEATEC 2024」で、広島市に拠点を置くロボット開発企業であるルーチェサーチが、地方独立行政法人「東京都立産業技術研究センター」(都産技研)との公募型共同研究で開発したハイブリッド・ドローン2機を使った送電線監視システムを展示した。
送電線点検ソリューションを開発!飛行時間の課題を解決
ルーチェサーチは2011年に創立され、測量事業を主軸にドローンやロボットの開発を行っている。ドローンによる測量や画像解析、ドローンの製造まで手がけている。
送電線は、発電所と電力の消費地である都市部を結ぶ重要なインフラだが、その多くは山奥など人があまり立ち入らない場所に建設されている。現在、その監視はヘリコプターで行われているが、コストが高いことから、その役割をドローンが担うことが期待されている。
同社は電力会社からドローンを使った送電線監視を要望されたことがあったが、ドローンが山陰などに入ると電波が届かず、操縦や画像送信に支障があるほか、バッテリー式の機体では、飛行時間が20分程度で、実用にはほど遠かった。
そこでこうした問題の解決を目指し「次世代通信技術をつかったソリューション」をテーマにした都産技研の2023年度の公募型共同研究に応募。研究テーマに採択され、2000万円の研究資金を得て、大阪のドローンメーカー「TKKワークス」と共にハイブリッドエンジンを搭載したドローンと無線システムの開発を行ってきた。
その結果、草刈り機用の小型ガソリンエンジンを使って発電し、その電気をバッテリーに供給することで、約2時間の飛行時間を確保することに実機で成功した。
システムでは2機のドローンを同時に飛行させ、1機は送電線付近を飛行して不具合場所などを探すなど監視作業、もう1機は操縦電波や作業用ドローンからの映像電波を中継して地上局に送る。これにより作業現場が山陰などでも電波が届き、監視を継続できるとしている。
同社では、今後は地元の中国電力などと共同でこのシステムの本格的な運用を目指していくとしている。
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