写真:ディスプレイやパネル、計測機器などが並ぶアンリツの展示コーナー
電波計測の方法などをくわしく説明するパネルなどが設置された「CEATEC 2024」のアンリツの展示コーナー。

 計測機器メーカ-の「アンリツ」は、10月に千葉・幕張メッセで行われた電子技術の展示会「CEATEC 2024」にドローン関係の操縦や航法などで必須となる無線電波関係の計測機器などを展示した。

ドローンの電波環境を調査する電波計測用のドローン

 ドローンで使われる電波はWi-Fi、4G/LTE(携帯電話の電波)のほか、衛星からの信号まで多種にわたる。こうした電波の状況を知ることは安全なドローン運用では最重要事項。特に人口密集地での目視外飛行となるドローンのレベル4飛行では高い信頼性が求められる。同社では物流をはじめとするドローンの利用拡大を見越し、得意とする計測器の知見を用いて電波計測分野に参入した。

写真:機体の下に取り付けられたメッシュ状の台に計測器を搭載したドローン
電波計測用ドローン「ALTA X」。下部に電波計測機器を搭載できる。

 同社が展示したのは、電波計測用のドローンと視覚的に電波状況を確認できるアナライザーだ。電波計測用ドローンは、15.9kgのペイロードを備える米国Freefly Systemsの「ALTA X」を採用。計測機器を搭載してドローンの飛行が想定される上空を飛ばし、電波の強度や遅延、他からの電波干渉の状況などを計測する。

 電波計測用ドローンのほか、電波強度を測るスペクトラムアナライザーや、ドローン本体とのデータ通信の速度などを測る5Gネットワークにも対応したテスターも展示した。

写真:RFスペクトラムを表示する「MS2090A」
アンリツのスペクトラムアナライザー「MS2090A」。多様な帯域の電波の強度を計測、わかりやすく表示している。

 同社は、2024年からALTA Xによる飛行計測サービスを開始しており、国が推進している「デジタルライフライン全国総合整備計画」のアーリーハーベストプログラム(早期実現プログラム)とされている静岡県天竜川沿いでのドローン航路設定作業に協力している。

 また、レベル4飛行のためには第一種型式認証が必要となる。メーカーが型式認証の取得を目指す際、機体の操縦用電波送受信能力や電波干渉への強度確認などの作業に協力しているという。

 同社の担当者は「電波の計測に関しては、携帯電話の電波強度計測などで培ってきた技術と経験があり、それを応用してドローンの社会実装に貢献したい」と話していた。

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