2023年5月24日~26日の期間、幕張メッセで開催された「建設・測量生産性向上展2023」で、ROBOTIX JAPANは次世代エネルギーとなる常圧水素燃料電池を発表した。そのほか、高所にあるソーラーパネルを効率的に清掃するための「太陽光発電パネル清掃ドローン」も展示していた。

高速充填で環境にも優しい注目の常圧水素燃料電池

 ROBOTIX JAPANのブースで一際注目を集めていたのは、常圧水素燃料電池だ。タンク容量に応じた水素を充填することが可能であり、圧力は1MPa以下で扱いやすいことが特長となっている。常圧水素燃料電池は、カートリッジに水素燃料を充填して使用する。

 担当者は「ドローンによる農薬散布では、継続して作業するために、大量のバッテリーが必要になります。水素燃料ドローンであれば、1本で長時間作業することが可能になります。3本の水素燃料電池を使用すれば、1日中作業することも可能です」という。通常のリチウムバッテリーは、低温や高温の環境では正常に動作しないケースもあるが、水素燃料電池の場合は-20℃~40℃の環境下でも正常に動作する。なお、常圧水素燃料電池は、金属製で耐衝撃性を備えている。

 リチウムバッテリーは約200~400サイクルが寿命とされるが、水素燃料電池はほとんど劣化することが無いという。充填を繰り返せば半永久的に使用できることから、環境にも優しい燃料だ。現在は、徐々に水素ステーションを増やしている最中であり、水素燃料を利用しやすい環境が整備されていくとされる。リチウムバッテリーは、満充電まで約40分要するが、水素燃料の充填は数秒で完了する。

 ROBOTIX JAPANが展示した常圧水素燃料電池は、臨床実験を行っており、販売時期や販売価格は未定となっている。なお、スタックと呼ばれる発電装置とカートリッジのセットで、30万円前後になる予定だ。

高所のソーラーパネルを清潔に保てる太陽光発電パネル清掃ドローン

 太陽光パネルを汚れたまま放置すると、発電効率の低下につながってしまう。そこで、ROBOTIX JAPANは、太陽光発電パネル用の清掃ロボットを開発した。

 ソーラーパネルは高所に設置されているものも多く、点検作業が困難なケースがある。これを解決するために、ドローンに太陽光パネル清掃ロボットを搭載して運ぶアイデアを具現化したという。清掃ロボットには、ナイロンのブラシとモップの拭き取り機能が備えられ、遠隔操縦によってソーラーパネルにこびりついたゴミや花粉などをブラシで清掃することが可能となった。

 担当者は、「ソーラーパネルは雨ざらしで放置していると、汚れがこびりついてしまいます。ドローンで清掃ロボットを運び、定期的に清掃を行えば、ソーラーパネルの発電効率を維持しやすくなります」と説明した。現在の清掃ロボットは、手動で操縦して移動する設計となっているが、今後はセンサー類を搭載して自動走行となる予定だ。2023年秋頃に発売開始を予定している。

手続きの一部を簡略化できる小規模圃場向け散布ドローンDMTER M6

 ROBOTIX JAPANは、農薬散布用ドローン「DMTER M6」の開発も手掛けている。面積の狭い日本の圃場向けに開発しており、農薬散布機の中では小型な部類だ。ドローン初心者でも安心して取り扱いやすく、薬液交換やメンテナンス等の手間を極力少なくできるように設計された。女性でも持てる軽量なボディで、軽トラックの助手席に納まるサイズ感である。農薬のタンク容量は6Lとなっており、72aの圃場を散布することができる。通常の噴霧装置は下向きに付いていることが一般的だが、DMTER M6は前方噴霧装置を採用した。その結果、農薬散布だけでなく、高所にあるハチの巣の駆除といった活用も可能だという。DMTER M6は通常のバッテリーを搭載しているが、今後は前述した水素燃料電池を導入してく予定だ。

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