2023年5月24日~26日に幕張メッセで開催された「建設・測量生産性向上展2023」では、ドローンを使って道路のひび割れ箇所のヒートマップを自動生成する「CRAD for Asphalt」をT&Tが発表した。

 CRAD for Asphaltによる道路舗装調査は、民間企業だけではなく、行政などからも受注し、注目度の高い技術となっている。T&Tは道路舗装調査のほか、同じくドローンを利用した災害対応業務や建物劣化状況調査の「Drone Wall System」、現場作業と帳簿作成を簡単に行える「Worknote」なども開発している。

 T&Tが開発したCRAD for Asphaltは、ドローンで道路を撮影し、取得した画像をオルソ化。そして、ヒートマップをエクスポートするという簡単な3ステップで道路舗装調査を行えるソリューションだ。

ひび割れの幅と長さを0.01mm単位で調査可能

 CRAD for Asphaltでは、ドローンの取得データをオルソ化し、精度の高い三次元モデルで効率的に解析することが可能となる。ひび割れの幅と長さは0.01mm単位で判断し、異常箇所の合計値を算出する。50cm×50cmの範囲内でひび割れ箇所を特定し、ヒートマップを自動で生成してくれる。

 CRAD for Asphaltの解析画像では、青色のマスはひび割れが2本以上、緑色のマスはひび割れが1本特定されたことを示しており、ひび割れが無く、正常と判断された箇所は色別されない。これによって、一目でひび割れ箇所を把握することができる。さらには、全体に対してひび割れ率が何%であるかを算出した上で納品することが可能だ。そのため、依頼者が修繕工事にかかる費用をあらかじめ計算しやすくなることが利点といえる。なお、解析の正答率は60~80%となっている。

 担当者は「従来の調査方法では、作業員が道路舗装のひび割れを目視で把握し、手書きで図面化していました。国や自治体から1km~2km単位で発注されることが多く、1kmの道路のひび割れをトレースする場合、おおよそ2週間かかっていました。CRAD for Asphaltを用いれば、1日で約2kmの作業を行えます」と説明した。

常に依頼者の目線に立って迅速丁寧な調査を行うのがT&Tの強み

 T&Tは、ドローンで撮影した画像をもとにした大規模建築物などの赤外線調査も提供しており、CRAD for Asphaltは建築物の点検にも活用することができる。T&Tの建築物点検の実績は非常に豊富であり、ドローンを使った点検で最も高層の建物は約200mのタワーマンションだという。わずか2日間で調査・点検を終え、これらの点検は周辺住民の安全性を十分に確保した上で行われ、使用したDJI Matrice 300 RTKには、スピーカーも搭載されていた。

 建物の大きさや調査場所によっても調査費用は異なるが、飛行場の近くなどの場合は申請の手数料がかかるケースもある。CRAD for Asphaltを利用した調査費用は最低でも1日で30万円以上となるのが一般的だが、従来の手法よりも格段にコストを抑えて調査することが可能となる。一級建築士や特定建築物調査員資格者が調査・作業・報告書の作成までをすべて担うため、高精度の調査を行えることが強みである。

 担当者はドローンを使用した建物点検に関して、「ゴンドラを使用した吊り下げの調査や足場を組んで行う調査に比べ、ドローンを用いることで格段に時間を短縮できます。そのほか、発注者や住民への負担もかなり少ないことがメリットです」としている。

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